6日、参院予算委員会で質問に立った日本共産党の仁比聡平議員。沖縄・辺野古への新基地を強引に進める安倍政権のもとでは、孫子の代まで沖縄に巨大基地がつくられるとともに、本土でも米軍の基地・訓練が強化されることを告発しました。
米軍新基地
仁比 まず民意を受けとめよ
首相 地元に丁寧に説明する
「ここに沖縄県民の民意が表れている」
仁比氏は冒頭、沖縄県名護市議会が3日に可決した意見書を取り上げました。辺野古新基地建設をすすめる政府に抗議し、「子や孫の代まで米軍基地を強要しようとしている日本政府のやり方に怒りを禁じ得ない」との一節を引いて基地断念を迫りました。
名護市長選で基地反対を掲げた稲嶺進市長の勝利について「沖縄県民は屈しない。県民総意による安倍政権への審判だ」と強調した仁比氏。市長選の民意をどう受け止めるのかとただしました。
安倍晋三首相 真摯(しんし)に受け止めたい。
仁比 どう真摯に受け止めるのか。
首相 地元に丁寧に説明していきたい。
仁比 求められているのは説明ではなく、民意をまず受け止めることだ。
仁比氏は、普天間基地の「県内移設」に反対する声があわせて73%にのぼった地元紙の世論調査を示し、「総理に突き付けられているのは『基地のたらい回しは許されない』という民意だ」と訴えました。
「普天間の固定化は避けなければならない」と新基地建設にしがみつく首相。仁比氏は、仲井真弘多(なかいまひろかず)・沖縄県知事が辺野古埋め立て申請承認の際に持ち出した普天間基地の「5年以内の運用停止」の首相“確約”について質問し、昨年4月の日米合意で「2022年度またはその後」とされていると指摘しました。
仁比 5年以内とは何も書かれていない。米国に見直しを求めて交渉するのか。
首相 米側など相手があることで、交渉することになる。
何の確約もないことを認めた首相。仁比氏は「民意を無視して、力ずくで基地を押し付けることに問題の根本がある。普天間基地は無条件に撤去すべきだ」と主張しました。
仁比 普天間にない機能も計画
防衛相 「新基地でない」と強弁
仁比氏は「ジュゴンのすむ美しい海に巨大基地が建設され、2本の滑走路が造られる」として、新基地は単なる普天間「代替」基地ではなく、最新鋭の巨大基地になることを強調しました。
仁比 護岸も造る計画で、200メートルから272メートルになった。普天間にはない機能だ。
小野寺五典防衛相 米軍基地の沖を埋め立て、そこを拡張するので、新たに基地が誕生するわけではない。
仁比 そんな詭弁(きべん)は通じない。
仁比氏は、エアクッション型揚陸艇(LCAC)の上陸路が計画されていること、米国防総省が1997年の報告書で、“運用40年、耐用200年”の設計を求めている事実を提示。272メートルの護岸に、オスプレイを搭載する強襲揚陸艦ボノム・リシャールが接岸できることも説明しました。
仁比 普天間の機能移転だけではすまない。まさに増強だ。これでなぜ沖縄の軽減か。
仁比氏は、普天間の空中給油機(KC130)全15機の米軍岩国基地(山口県岩国市)への移転について、「移駐した空中給油機はもう沖縄には来ないのか。基地に飛来したり、演習場で訓練したりしないという保証はあるのか」と追及。岩国市議会の全員協議会で防衛省が沖縄・伊江島での訓練を「引き続き行う」と明言したことを告発しました。
防衛相 (岩国の米軍機は)120機程度に
仁比 2.5倍 極東最大規模だ
仁比氏は、空中給油機15機に加えて厚木基地(神奈川県)から空母艦載機59機が岩国に移駐されるとして、「前例のない大増強だ」と指摘しました。
仁比 岩国に現在、配備されている米軍機は何機で、これから何機体制になるのか。
防衛相 現在、約50機。移駐後は120機程度になる。
仁比 現在のほぼ2・5倍だ。移駐後は沖縄の嘉手納基地をしのぎ、極東最大規模の米軍基地となる。
仁比氏は、移駐計画が、“基地周辺の爆音被害を軽減する”として進めた岩国基地の沖合移設の趣旨にも反すると指摘。「沖縄の耐え難い苦しみを本土全体に広げるに等しい」と批判しました。
仁比氏はさらに、島根・広島両県にまたがる自衛隊の訓練空域「エリア567」を、米軍機がわがもの顔で使用している問題をとりあげました。
仁比 昨年9月、国が騒音測定器を設置し、測定を開始したが、米軍機の騒音が何らかの基準を超えれば、抗議するのか。
防衛相 関係自治体から問い合わせがあれば米軍に通報し、状況を確認し、現地に内容を報告している。
国が被害を直接確認しているのに、所属機の調査も、抗議も行わない政府。仁比氏は、広島県北広島町では昨年11月、連日低空飛行が行われ、昨年10月下旬には、日没後40分余りの間に32回の騒音が測定された例などを示し、「低空飛行訓練そのものの中止を求めるべきだ」と述べました。
秘密法
仁比 「第三者 秘密に触れられず」
首相 「国民の懸念 報道のせい」
6日の参院予算委員会で日本共産党の仁比聡平議員が秘密保護法に反対する国民世論を示し、同法の廃止を強く求めたのに対し、安倍晋三首相は、同法に対する国民の懸念の広がりはマスメディアや運動のせいだと責任転嫁し、法律に問題はないとしました。
質問で仁比氏が同法への国民の懸念について認識を問うと、安倍首相は「(国民は)恣意(しい)的な運用がされるのではないか、知る権利が侵害されるのではないか、国民生活に悪い影響が出るのではないかと不安を持っている」と答弁。仁比氏はさらに、こうした懸念の原因に迫りました。
仁比 国民の懸念は法律のどこから来ているのか。
安倍 懸念は条文から来るわけではなく、誤った報道やみなさん方がつくったパンフレットがそういう懸念を醸成していった。
仁比氏は答弁に強く抗議し、「そういうことを首相が言えば言うほど、国民の不安や怒りが大きく広がっていくのが今の状況だ」と指摘しました。
首相は、秘密指定など恣意的運用の歯止めとして、民間有識者が委員に加わる「情報保全諮問会議」(座長=渡辺恒雄読売新聞会長)を持ち出しました。
仁比 諮問会議(の委員)は秘密そのものを見られるのか。
安倍 当然、民間のみなさまにはお示しすることはできない。これは世界各国共通のルールだ。
仁比氏は、「秘密に第三者が触れられないなら、総理が言う外部の第三者機関は成りたたない」と追及。安倍首相は、「(諮問会議の役割は)秘密指定・解除のルールづくり」「運用状況は総理大臣である私が諮問会議に報告する」としましたが、同会議が国民の懸念払しょくのためまともに機能しないことが明らかになりました。
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