主張
「教育再生」の暴走
子どものため、みんなで阻止を
安倍晋三政権は今年、自らかかげる「教育再生」を一気に進めようとしています。最大の狙いは、従来の一線を越えて教育を右傾化させることです。
教科書検定では、国の審議会が「愛国心教育に反する」と判断すれば不合格となるような検定基準の改悪を準備しています。道徳の時間を「教科」化し、検定教科書を使って国が定める徳目を教え込む時間にする計画も進行中です。戦後つづいた教育委員会制度を廃止し、教育を首長直轄にして露骨な政治介入を可能とする法案を提出しようともしています。
「安倍カラー」で染める
さらに自民党は、学習指導要領などの教育内容を改悪教育基本法にそって全面的に改変する「教育再生推進法」を議員立法で制定する動きを示しています。
安倍首相らは侵略戦争への反省を「自虐史観」とあざけり、「従軍慰安婦などなかった」とうそぶいてきました。しかし、そうした極右的な歴史認識を公教育で教えることは、「村山首相談話」など歴代の政府見解に反するだけに実行できていません。そこを突破し、教育を「安倍カラー」に染めあげる道をつくろうというのです。
安倍政権は「戦争をする国」を目指し改憲をかかげ、秘密保護法など危険な暴走を始めました。「教育再生」は「戦争をする国」を支える教育をつくるものに他なりません。国の進路にかかわる重大な問題です。
しかしこうした暴走は矛盾を広げ、中央教育審議会や与党からも批判の声があがっています。何より、わが子の幸せを願う保護者など大多数の国民との間に大きな矛盾があります。誰がわが子に世界に通用しない歴史認識を教え、「戦争をする国」の人材にしようと思うでしょうか。
大事なことは、暴走への批判を、未来志向の教育を広範な人々とともに築いていく新しいとりくみにつなげることです。
侵略戦争の肯定を支持する人びとの中には、そのことで自らの「自信」を取り戻したいという気持ちがあるといわれます。しかし、それでは世界に通用しないし、真の誇りも取り戻せません。議論を通じて国民的に歴史認識が発展すれば、子どもの教育も光ります。
道徳教育は、世界では基本的人権の自他ともの尊重など市民形成の教育として発展しています。日本だけ「徳目」や権威への服従では太刀打ちできません。
教育委員会発足の理念は市民の代表である教育委員らが民主的に教育行政をすすめることでした。しかし制度は形骸化し、国のいう通りの教育を教員らに命じる行政が幅をきかせています。理念に沿って改革し、子ども、保護者、教職員、市民らの現場感覚と思いで教育が動くようにすれば、豊かで多様な教育が花開くはずです。
未来志向の教育へ共同を
新しい取り組みの芽はすでにあります。いじめ問題では「教育再生」の側が「厳罰主義」を執ように主張しましたが、現場サイドの意見で国の指針は異なる内容となりました。「これなら力をあわせられる」と好評です。
教育は子どもらを真ん中に、みんなで支える営みです。今年が教育分野での安倍政権の暴走をくいとめ、教育の新たな出発の年となるよう、手をとりあいましょう。
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