徳田氏除名もせず
一昨年12月の総選挙をめぐる医療法人「徳洲会」グループの公選法違反事件は、徳田毅衆院議員(42)=鹿児島2区、自民党を離党=、母・秀子被告(75)、姉のスターン美千代被告(46)らの起訴、追起訴により、徳田議員の失職も現実性を帯びてきました。猪瀬直樹前東京都知事への5000万円提供について、徳田議員の事情聴取も行われましたが、徳洲会マネーの“恩恵”に預かった多くは自民党議員です。同党の責任も問われています。(藤沢忠明)
これまでの東京地検特捜部の調べなどによると、スターン被告のパソコンや秀子被告の手帳には、現金の配布先リストが残っているといいます。
7閣僚はじめ石破幹事長も
2012年の政治資金収支報告書によって、徳洲会マネーを受け取ったことが明らかになっている政治家は、徳田議員の資金管理団体「徳田毅政経研究会」がパーティー券を購入していた自民党の国会議員90人です。このなかには、甘利明経済再生担当相、森雅子消費者担当相、根本匠復興相、新藤義孝総務相、林芳正農水相、稲田朋美行政改革担当相、田村憲久厚生労働相の7閣僚(いずれも2万円)、石破茂幹事長12万円など政権中枢が含まれています。
このほか、松本洋平衆院議員が60万円、丹羽秀樹文部科学政務官、薗浦健太郎衆院議員が各50万円など、10万円以上のパーティー券購入を受けていた議員が10人います。
このうち、20万円分のパーティー券を買ってもらっていた大塚高司自民党国対副委員長は、スターン被告が社長だった徳洲会グループのファミリー企業「インターナショナル・ホスピタル・サービス」(IHS)から100万円の献金も自らが支部長を務める自民党支部で受け取っています。
また、斎藤洋明衆院議員の政党支部もIHSから100万円の献金を受け取っていました。
幹部と会食や大臣室で面会
これら徳洲会マネーを受け取った政治家は、徳洲会グループとどういう関係にあったのか―。
2万円のパーティー券を買ってもらっていた田村厚労相は、昨年5月、徳洲会幹部と料亭で会食していたことや、スターン被告と昨年6月、大臣室で面会していたことが明らかになっています。
50万円と多額のパーティー券を購入してもらっていた薗浦議員(千葉5区)は、一昨年12月の総選挙で、千葉県内の徳洲会病院から職員を常時3人、ボランティアとして派遣してもらっていたことを認めています。
徳洲会グループは、総選挙直前、複数の衆院議員側に「陣中見舞い」などの名目で100万円単位の資金提供をしていたとの報道もあります。
自民党総裁でもある安倍首相は、首相就任直前の一昨年12月17日、東京都内のホテルで開かれた徳田毅政経研究会の資金集めパーティー「徳田たけし君と語る会」で、「自民党のホープ、日本のホープ」と持ち上げ、選挙後、国土交通・復興政務官に“抜擢”しました。
徳田議員は、昨年11月13日、離党届を提出しましたが、自民党はもっとも重い「除名」にはせず、本人の意向を尊重して離党を了承しています。自民党には、政権党として、みずからの徳洲会との関係について、説明する責任があります。