主張
生活保護費の減額
温もりある政治こそが必要だ
生活保護費削減をすすめる安倍晋三政権が、生活保護受給世帯に毎年12月に支給される「期末一時扶助」の大幅削減を行いました。昨年に比べ半額以上カットされた世帯も生まれています。「灯油など物価が上がっているのに、これでは安心して年も越せない」と悲鳴が上がっています。大企業には減税などで大盤振る舞いする一方、生活困窮に陥った人たちの支援は容赦なくカットする―。あまりに冷たい、逆立ちした政治です。
子育て世帯を直撃
安倍政権は今年8月から生活扶助費の大幅削減を実行しています。3年間で過去最大の約670億円(2013年度で約150億円)もの削減です。受給世帯の9割以上が影響を受けるものです。
生活扶助費は、食費や水光熱費など日常生活の土台にかかわる費用です。これまでも受給者は節約を重ねて生計を維持してきました。安倍政権は“物価下落と比べて扶助費が高い”などとして削減を正当化しますが、その根拠にした数値は、食品などの値上げが反映しないなど受給世帯の生活実態とかけ離れたものです。社会保障改悪路線のもとで“削減先にありき”の不当なやり方です。
扶助費削減に全国で1万人以上が審査請求するなどたたかいが広がっています。12月の期末一時扶助削減は、3年間の生活扶助費削減では“削減額が足りない”と強行されたもので、受給者の怒りをますます広げています。
期末一時扶助の削減総額は約70億円にのぼり、多人数世帯ほど削減幅は拡大します。高齢者2人世帯は約6000円がカットされました。昨年と比べ3万円以上も削られ半額以下になった子ども3人の母子家庭もありました。
期末一時扶助削減は、生活扶助費減額で暮らしの基盤を弱められた人たちをさらに苦境に追いやっています。普段ギリギリの生活をおくる受給者が、せめて安心して年を越せるよう、出費がなにかと多い年末に支給されるのが期末一時扶助です。一時扶助をあてにして必要なものでも購入を我慢してきた世帯も少なくありません。
真冬の寒さで燃料や電気代もかさむ時期です。猛暑の8月に始まった生活扶助費削減によってエアコンや扇風機の使用を避けて熱中症になった受給者が続発しました。厳冬のなかの一時扶助削減は、風邪やインフルエンザなど受給者の健康を危険にさらすものです。
「アベノミクス」の影響で卵や豆腐などの値段が上昇し、それだけでも受給者は日々の生活に四苦八苦です。4月の消費税増税はさらなる打撃です。生活実態とあまりにかけはなれた扶助費削減の道理のなさは明らかです。14年度以降の扶助費削減は中止し、実態に見合った改善をするべきです。
社会保障改悪と対決
生活保護費増加は、雇用破壊や低年金など社会保障の不備の結果です。雇用や社会保障の改革なしに生活保護費削減を強行する安倍政権のやり方は本末転倒です。
扶助費削減への審査請求、先の国会で成立した生活保護改悪2法による受給者締め出しを許さない運動は広がっています。年末に支給された年金額カットへの審査請求にも高齢者が立ちあがっています。憲法25条にもとづき、国民の暮らしに目を向けた温(ぬく)もりのある政治への転換が重要です。