主張
安倍首相記者会見
口先の「反省」で批判かわせぬ
臨時国会閉幕を受けた安倍晋三首相の記者会見(9日)を聞き、安倍政権が秘密保護法「成立」を強行したことへの新たな怒りを禁じ得ません。
「秘密が際限なく広がり、知る権利が奪われる、通常の生活が脅かされるようなことは断じてない」「むしろ取り扱いの透明性が増す」―まるで人ごとのように言い放つ首相の口ぶりに、国民の不安に向き合う姿勢はありません。「私自身がもっとていねいに時間をとって説明すべきだったかと反省している」ともいいましたが、それこそ「反省」のことばが白々しく響くだけの居直りです。
国民の声に向き合わない
安倍首相はいったい、秘密保護法に対して、政治的立場をこえてなぜあれほど急速に国民の各界各層から反対の声が広がったのか、その声は法案の「成立」が強行されたあとも途切れることなく、秘密保護法の撤廃を求めて広がり続けているのかを、まったく理解できないのか、する気がないのか。
秘密保護法の「成立」が強行されたあと発表されたどの世論調査でも安倍内閣の支持率は急落し、秘密保護法の審議が不十分だったという批判は8、9割にのぼっています。内閣支持率は「朝日」の調査では46%、共同通信の調査では47%、秘密保護法の国会審議が「十分でなかった」というのはJNNの世論調査で85%にのぼっています。安倍首相は世論調査の結果の厳しさも口にしてみせますが、国民の声にほんとうに向き合えば、秘密保護法を強行することなどできなかったのは明らかです。
政府が勝手に「特定秘密」を指定し、その漏えいに厳罰を科す秘密保護法は、国民の「知る権利」を侵害し、「言論・表現の自由」など国民の基本的権利を破壊し、国家安全保障会議(日本版NSC)の設立と一体で「戦争への道」を推し進める希代の悪法です。国民主権、基本的人権、平和主義の原則を踏みにじる点で、明らかに憲法違反の法律です。
国民はなにが「秘密」にされているのかもわからないまま、情報から遮断され、どうしても知りたいと「秘密」に近づこうとすれば、情報漏えいの共犯にもされかねません。未遂でも、共謀、教唆、扇動しただけでも取り締まりの対象です。安倍首相が「一般の国民が巻き込まれることはない」といっても何の保証にもなりません。
安倍首相は、「ルール」をつくれば「透明性が増す」ようにいいますが、国会審議でさえ「特定秘密」の提供は「秘密会」に限られ、国会議員が「秘密」を漏らせば処罰されるのです。秘密保護法ができれば「透明性が増す」などというのは、まさに白を黒といいくるめるものです。もともと政府が持つ行政情報は国民に公開されるべきものです。それを政府の都合で隠す法律をつくっておいて、「透明性」などとはよくいえたものです。
違憲の法律撤廃しかない
本来、憲法違反の法律は存続が許されません。憲法98条は、違憲の法律は「効力を有しない」と明確に定めています。秘密保護法を撤廃していくことが重要です。
秘密保護法が強行されたあとも「撤回」や「廃止」を求める声が広がり続けています。国民は決して安倍政権の暴走を許していません。秘密保護法の撤廃へ、世論と運動を強めていくときです。
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