質疑打ち切り、与党単独採決―。秘密保護法をめぐる安倍政権の暴走が極まっています。一方で、反対の世論と運動が広がり続けています。日本共産党の志位和夫委員長は「今回の強行劇は安倍政権の『終わりが始まった』ということだ。国民に追い詰められての暴挙だ」(5日)と指摘しました。
強行につぐ強行
衆院本会議での審議入りからわずか1カ月。憲法の大原則―人権・民主主義・平和を踏みつぶす秘密保護法案をめぐって、安倍政権は強行採決につぐ強行採決を重ねました。
衆院での質疑は40時間程度。参院はわずか20時間余です。
衆院国家安全保障特別委員会が開いた地方公聴会(福島市)では自民党推薦の公述人を含む全員が法案への「反対・慎重」を表明するなか、翌11月26日には質疑を打ち切って採決を強行。参院国家安保特委でも地方公聴会(さいたま市)を開いた翌5日に「強行採決」しました。国民の意見を聞く公聴会を“採決前のセレモニー”のように扱う傲慢(ごうまん)さ。国民の不安も怒りもどこ吹く風の運営です。
参院安保特委での審議は、ほとんどが与野党の合意のないまま委員長の「職権」で開催を強行。野党側の質問に答弁する大臣を政府・与党が選別して野党の質問権を侵害するなど、暴挙を重ねました。
法案を会期末(12月6日)までに可決するため、5日未明には参院の内閣、経済産業両委員会の委員長(民主党)を解任し、自民党議員に強引にすげかえました。与党が野党委員長を解任したのは国会史上初。安倍晋三首相の「決める政治」(10月15日の所信表明)の正体は、議会のルールを壊す「数の暴力」です。
“いつかきた道”
安倍政権の暴走には前歴があります。第1次安倍政権のもとで開かれた通常国会(2007年)では、与野党の合意がなかったり、与党の「数の暴力」で質疑を一方的に打ち切った強行採決が、衆参あわせて20回以上に上ります。(表)
貧困と格差を拡大する「構造改革」に固執し、憲法改悪を柱とする「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げ、改憲手続き法や教育基本法改悪に突き進む―。民意に背く数々の暴走の果てに安倍首相がたどり着いた先は、参院選での歴史的大敗と、その後のみじめな政権投げ出しでした。(07年9月)
秘密保護法案は、どの世論調査でも「反対」が5割以上、8割は「慎重審議」を求めています。「第1次安倍政権のときの『数の暴走』『数の暴力』の姿に戻った」(志位委員長)。今回のなりふり構わぬ暴走は、“いつか来た道”です。
2007年通常国会 主な強行採決(第1次安倍政権)
2月
衆参両院の予算委員会、本会議を与党単独で開会し、2006年度補正予算を強行採決。
3月
衆院本会議、予算委員会などを与党単独で開会し、07年度予算と関連法案を強行採決。
4月
与党が衆院憲法調査特別委員会、本会議で改憲手続き法を強行採決。教育基本法改悪など教育3法を審議する特別委員会を設置。
5月
参院憲法調査特別委員会で与党と民主党が改憲手続き法を強行採決。衆院イラク特別委員会で与党がイラク派兵延長法を強行採決。
6月
与党が参院外交防衛委員会でイラク派兵延長法、参院文教科学委員会で教育3法を強行採決。衆院本会議、参院厚生労働委員会で社会保険庁解体・民営化法などを強行採決。
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