主張
12年政治資金報告
収支の変化が政党の正体映す
猪瀬直樹東京都知事の医療法人「徳洲会」からの「借り入れ」問題など、政治資金問題があらためて注目されるなかで、2012年の政治資金収支報告書(総務相所管分)が公表されました。年末に総選挙があり、自民党が政権に復帰した年です。全体として収入・支出とも増加する中で、とくに自民党への企業・団体献金が急増し、財界・大企業への依存を深める一方、民主党は税金で賄われる政党助成金への依存度をいっそう高めています。政治資金の変化が各党の実態を浮き彫りにしています。
政治をゆがめる企業献金
政治資金収支報告は、法律(政治資金規正法)に政党や政治団体の活動が「国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」とあるように、定期的な公表によって政党の姿を国民の前に明らかにするものです。
政党が主権者である国民の自発的な意思でつくられるものである以上、その財政が党員の負担する党費や支持者からの寄付、機関紙誌などの事業活動で賄われるのは当然です。本来、大企業や業界団体はどんなに力があっても主権者ではありませんから、企業・団体献金など政治資金を提供する資格はなく、巨額の企業献金は政治をゆがめ、主権者の政治参加を逆に妨げるものです。政党支持に関わりなく国民に負担を押し付ける政党助成金も、国民の思想・信条の自由を侵害し、政党の活動をむしろ衰退させます。
日本共産党は12年に政党の中では一番多い232億8286万円の収入がありましたが、そのほとんどが党費や個人の寄付、機関紙誌などの事業収入で、企業・団体献金や政党助成金は1円も受け取っていません。収入の87・6%、支出の61・7%を機関紙誌活動などの事業活動が占めており、「しんぶん赤旗」の発行を通じて広く国民と結びついている近代的な組織政党の姿は明白です。
これに対し、自民党本部の12年の収入は158億9787万円で前年より13・9%増えましたが、党費は4分の3に減り、政治団体からの献金と借入金が増えています。とくに自民党の企業・団体献金の受け皿になっている国民政治協会が業界団体などから受け取った献金は約1・5倍に急増。日本医師連盟や歯科医師連盟、不動産政治連盟、石油連盟などの献金額が急膨張しており、自民党の献金“丸抱え”ぶりは明らかです。
憲法違反の政党助成金の依存度は、民主党が84・4%(前年83・2%)、自民党が63・9%、みんなの党が79・4%などとなっており、多くの党が企業・団体献金と政党助成金の“二つの財布”を持つ、献金漬け、税金漬けの姿です。
“二つの財布”の異常正せ
財界・大企業が政党や政治団体に献金するのは、自らの利益が増える、企業に都合のよい政治を求めるからです。営利が目的の企業の献金は、政治を腐敗させる元凶です。税金で政党を支援する、憲法違反の政党助成金が1990年代に導入されたのも、企業献金の廃止が条件でした。
それから20年近くたつのに、自民党や民主党が“二つの財布”に依存し続けているのは日本の政治の異常です。企業・団体献金を禁止するとともに政党助成金を廃止することこそ、本来の政党らしさを取り戻すうえで不可欠です。
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