主張
婚外子差別是正
なくそう すべての法的差別
政府は、婚外子の相続は婚内子の半分という差別規定をただし、同じ権利を認める民法改正法案を12日閣議決定し、国会に提出しました。
法務省法制審議会が、男女の結婚年齢の違い、夫婦の同姓の義務づけなどとともに、その是正をもとめて17年、やっとその一歩が開かれようとしています。
「家族」もちだす時代錯誤
この法案は、婚外子への相続は憲法違反とした9月4日の最高裁の決定を受けて、今国会にいち早く提出されるべき法案でした。
ところが、与党・自民党内の「家族制度が崩壊する」「最高裁は子の立場を考慮しすぎだ」などの強硬な反対意見によって、法案提出は不透明と報じられる事態にまでなっていたものです。
それは、自民党が、改憲草案で、憲法24条に、新たな項を設け、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」と規定し、「個人」よりも「家族」を社会の基礎単位とし、よりいっそう女性に家族的責任を負わせる古い家族社会をとりもどそうとする異常な価値観をもっているからです。
最高裁の決定は、婚外子差別規定の是非は、個人の尊厳と法の下の平等を定めた憲法にてらして、選択する余地のない事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されない、子の個人の尊重と権利を保障するべきとして、違憲の判断をおこなったものです。
また国連から、子どもの権利条約や女性差別撤廃条約などにもとづく是正勧告が繰り返しおこなわれていることなどもふまえてだされた判断です。
この最高裁の当たり前の判断を非難し、改正に反対する自民党内の暴論に、国民はもとよりメディアからも厳しい批判がだされたのは当然であり、自民党は、婚外子相続差別是正法案の提出は了承せざるをえなくなったのです。
しかし、自民党は、出生届に「嫡出子」(婚内子)、「嫡出でない子」(婚外子)の記載を義務づけている戸籍法の改正については、あくまでも「区別は必要」「最高裁は、戸籍法は違憲と判断していない」などとして了承しませんでした。
また、「『家族の絆を守る』特命委員会」を設置し、1年をめどに、そのための諸政策をまとめることを決めています。
あくまで古い価値観に固執する立場をしめしています。
世界では、女性差別撤廃条約にそって社会のあり方の改革がすすめられ、婚外子差別はもとより、夫婦同氏の制度など家族に関する差別規定の残されている国は先進国では日本だけです。国連女性差別撤廃委員会は、この9月にも“改善勧告を履行していない”という厳しい手紙を政府に寄せています。
憲法守り生かすたたかい
戦前の残りかすに固執し続ける自民党議員らの議論にも、日本政府の民法改正への消極的立場にも、道理はありません。
憲法を守り、生かす重要なたたかいです。
婚外子相続差別是正の改正案を一日も早く成立させるとともに、戸籍法改正、選択的夫婦別姓制度の実現など、法律に残るすべての差別をなくす運動をいっそう大きくひろげる時です。
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