志位委員長が談話
社会保障制度の改悪メニューなどを定めた「プログラム法案」が1日の衆院本会議で審議入りしました。これについて日本共産党の志位和夫委員長は同日、記者会見し次の談話を発表しました。
一、安倍内閣が提出し、国会での審議が始まった「社会保障プログラム法案」は、国民を「自助・自立」に駆り立てる体制づくりこそ国が講ずべき政策であると規定し、医療・介護・年金・福祉の全分野にわたる給付削減を打ち出して、その実施スケジュールを明記するなど、公的制度としての社会保障を根底から掘り崩す、“社会保障解体”の促進法案となっている。
一、「法案」は、国が講ずべき「制度改革」の基本を「自助・自立のための環境整備」とし、憲法25条にもとづく社会保障を解体して、国民を無理やり「自助」に追い込む方向を公然と宣言した。歴代政権の悪政によって、国民の貧困と生活苦が深刻化するなか、その解決を“自己責任”や“家族の支え”に押しつけ、国の責任を投げ出すなど許されるものではない。
一、「法案」は、社会保障費の抑制に向けた医療・介護・年金などの「改革」メニューを列記し、おのおのいつまでにそれを実施するかの“日程表”を法文化して、政府に実施を義務づけている。政府が決めたスケジュールを与党が国会で可決し、政府に“お墨付き”を与えるという“自作自演”的なやり方で、制度改悪を推進しようというものである。
一、「法案」には、「社会保障制度改革推進本部」「社会保障制度改革推進会議」という機関の新設が規定されている。昨年、「社会保障制度改革推進法」によってつくられた「国民会議」は、民間人を議長とする1年限りの諮問機関だったが、「推進本部」の本部長は首相がつとめ、両機関は常設機関となっている。この二つの機関をつうじ、政府は今後、「改革」の進展状況を検証し、次なる「改革」案を審議・立案していくことになる。まさに、社会保障削減の“司令塔”をつくり、永続化していくための法規定である。
一、安倍政権が実行に着手し、「プログラム法案」に盛り込まれた、年金・介護・医療・福祉の改悪には、各分野の有識者や保守系の諸団体、自治体当局からも懸念と批判の声が上がり、改悪阻止をめざす国民各層の運動が起こっている。日本共産党は「プログラム法案」の廃案をめざすとともに、安倍政権が推進・計画している各制度の改悪を阻止するために全力をあげる。
一、「消費税増税は社会保障のため」という年来の言い訳が破綻し、自民党政権は、社会保障の財源や将来像について、まともに語れなくなっている。日本共産党は、昨年発表した「経済提言」で、消費税に頼らない別の道で段階的に財源を確保しながら、危機にひんした社会保障を再生し、充実に転換していく、私たちの提案を明らかにした。こうした対案・展望もしめしながら、くらしと権利をまもり、人間らしい生活を支える社会保障の実現をめざす、国民的共同をすすめるため奮闘する。