「しんぶん赤旗」

秘密保護法案―「軍事立法」が示す異質の危険

2013/11/02 11:25 投稿

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主張

秘密保護法案

「軍事立法」が示す異質の危険

 安倍晋三政権が今国会へ提出し、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案とともに成立をねらう秘密保護法案に対し、反対の世論が広がっています。秘密保護法案は、外交、防衛など日本の「安全保障に関する情報」を保護するため、「行政機関の長」が「特定秘密」を指定し、それを漏らした公務員などに「懲役10年」もの重罰を科す弾圧法です。情報に接近しようとした国民や報道機関も対象です。秘密保護法は、「安全保障」を名目に、広範な行政情報を国民から隠す、文字通りの「軍事立法」です。これまでにはない“異質の危険”は明らかです。

「安全保障」振りかざして

 日本の法律では、「秘密保護」は公務員などに「職務上知りえた秘密」をみだりにもらしてはならないと守秘義務を定めたものが中心で、それを破ったときの罪は公務員でも懲役1年です。それさえ守秘義務の範囲が広すぎると問題になってきました。自民党政府は2001年、アメリカ「同時テロ」のどさくさにまぎれ、自衛隊が保持する「防衛秘密」について、外部に漏らしたり、漏洩(ろうえい)を企て、教唆、扇動したりした場合は5年以下の懲役に科すと改悪しました。「(自衛)隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない」との守秘義務が根拠です。例外は日本に駐留する米軍やアメリカから提供された装備についての軍事情報で、違反すれば特別法で10年以下の重罰が科されます。

 今回の秘密保護法案はこれまでの法律とはまったく違います。法律の目的に「我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるもの」を「保護する」と、目的に「安全保障」が明記されました。まさに「軍事立法」です。秘匿の対象は防衛、外交などの行政情報の中から「行政機関の長」がその漏洩が「安全保障に著しい支障を与える」と指定するものとなっているだけで、すべての行政情報が対象になりえます。

 しかも「特定秘密」を扱えるのは、「適性調査」で秘密を漏らす恐れがないと認められた公務員に限られており、事実上すべての公務員が「適性調査」の対象です。国民にとってはなにが「秘密」かもわからないのに、情報を手に入れなくても、共謀、教唆、扇動しただけでも罪に問われます。まさにすべての公務員と国民に、手かせ、足かせをはめるものです。

 「安全保障」を振りかざして、すべての公務員と国民を縛り上げる「軍事立法」が、国民の「知る権利」や「取材・報道の自由」を侵害するだけでなく、国民主権の原則や平和主義を踏みにじることは明らかです。憲法で戦争を放棄した日本に、他国との戦争を前提に国民の目や耳をふさぐ「軍事立法」は必要ありません。秘密保護法の制定は断固阻止すべきです。

「戦争する国」ねらって

 戦前の日本には軍機保護法や国防保安法があり、「国防上外国に対し秘匿することを要する」情報を漏らせば厳罰に処せられました。戦後も自民党が再三、「スパイ防止」を口実に国家秘密法を提出しましたが国民が阻止しました。

 安倍政権が日本版NSC法や秘密保護法に執念を燃やすのは、日本を「戦争する国」にするためです。歴史の逆戻りを許さず、秘密保護法など「軍事立法」の阻止に力を尽くすことがいま重要です。

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