無法な「派遣切り」にあい、仕事を探し続けても見つからず、日々の食事にも困って申請した生活保護を却下したのは不当だとして、大阪府岸和田市に住む夫婦が同市に却下取り消しを求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁でありました。
田中健治裁判長は、市の却下処分は生活保護法4条1項の稼働能力活用要件の「解釈を誤り違法」とし、処分の取り消しと慰謝料など68万3709円の支払いを命じました。
原告の男性(41)と妻(48)は申請を5度も門前払いされました。判決は、「稼働能力活用」の要件について、能力の有無だけでなく、年齢や健康状態、生活歴、学歴などを勘案し、困窮程度についても考慮すべきだと指摘。「就労の場所」についても、申し込みさえすれば原則として就労できる状態か否かを具体的に判断し、抽象的な有効求人倍率のみで判断すべきでないとしました。
尾藤廣喜弁護士は「当事者の年齢や健康状態、困窮の度合いなど具体的状況を分析し、判断すべきとしている点で一歩踏み込んだ判決になっている」と評価。安倍政権が臨時国会に提出した生活保護改悪関連2法案にも、「真っ向から対立する判決」で、「生活保護を申請する意思があるのに他方に流し込むという“沖合作戦”を否定している点でも大きい」といいます。
勝利判決後の記者会見で、男性は「判決を踏まえ、私たちのような人が窓口で追い返されることなく生活保護を活用して自立していけるようにしてほしい」と話しました。
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