「米国人には想像できない。驚きだ。面白い」
7月の参院選で躍進した日本共産党が海外メディアから注目されています。共産党がどんな政党かに言及するメディアもあります。選挙後も、焦点の政治課題をめぐって共産党の見解を求める取材が相次いでいます。(酒井慎太郎)
「共産党のカムバック ただし日本で」との見出しで報じたのは、インターネット版の米国の日刊紙「クリスチャン・サイエンス・モニター」(8月5日付)。「選挙民の琴線に触れたことで、日本共産党は現政権に対する最も一貫した野党の地位を固めるチャンスを迎えているのかもしれない」と評しました。共産党が躍進した理由として「一部の有権者は共産党のことを、安倍政権の国粋主義と日本の平和憲法改定の主張に対抗できる唯一の党だとみなしたようだ」と解説しました。
「ネットを活用」
記事は米国内の大手サイトにも転載され、「すごい」などと2日間で約2万3000件の反響がありました。
記事を書いたのは、来日して16年になるフリージャーナリストのギャビン・ブレアさん(42)。なぜ共産党に注目したのか? 本紙の取材に、「この21世紀に共産党がうまくいくなんて、普通の米国人には想像できない。驚きだ。面白い」。ブレア氏の企画提案に、同紙も即決しました。
共産党の取材は2度目というブレア氏。「派遣切り」が相次いだ4年前、改めて注目された小林多喜二の小説「蟹工船」と青年党員を取材しました。「日本の共産党に対するイメージは“年上”(高齢)でした。しかし、ネットをよく活用し、進化しています」
“進化”で注目したのは、東京選挙区で12年ぶりに共産党の議席を勝ち取った吉良よし子参院議員やネット選挙。記事は吉良氏の印象について、「にこやかな笑顔で、スマートな着こなしの30歳」「資本主義撤廃を目指しているようにはとても見えない」と紹介しました。
解禁されたネット選挙に関しても、「最もうまく活用したのは共産党だったと広く見られている」と指摘。「党は選挙運動で新しいテクノロジーを利用する一方、政策でも人事の面でも日本の他の政党と一線を画す一貫性を誇ることができる」として、その一例をあげました。「志位和夫氏は2000年以来党の委員長を務め、その間日本の首相は9人交代した。一部の政治家は福島第1原発の事故以来反原発に立場を変えたが、日本共産党は常に原子力発電に反対してきた」
ブレア氏は、参院選後の政治状況について、「個人的な意見ですが、中国との関係や憲法問題など、もともと右翼の安倍さんは心配だね」といいます。「野党の状況もメチャクチャだ。僕から見ると、党の方針より、この人にお世話になったなどという人間関係に党のベースがある。そこから間違っていると思うな」
その上でブレア氏は語りました。「共産党の魅力的なポイントは方針がぶれないこと。取材して面白かった。僕の記事が話題になったし、うれしいね」
吉良氏を取材中、「聞いていただき、ありがとうございました」と感謝される場面があったといいます。「共産党が政権をとったら経済体制はどうなるのか?」。ブレア氏にとって「一番大切な質問」をしたときでした。記事はその吉良氏のコメントで締めました。
中・韓のTVも
海外でも自共対決が注目されています。
韓国の放送局・MBCは8月20日、井上哲士参院議員に「日本の右傾化」のテーマで共産党の見解を取材しました。井上氏は5月の参院予算委員会で、閣僚の靖国神社参拝と日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)の「慰安婦は必要」発言を追及。この質疑の映像が韓国内で何度も放映され、今回の取材につながりました。
中国の中国広東テレビは8月27日、東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題について、共産党の原発・エネルギー問題対策委員会責任者の笠井亮衆院議員を取材しました。
韓国と中国のテレビ局の取材先はいずれも、共産党と自民党でした。「韓国から見ても日本の政界は自共対決が鮮明になっているようです」(井上氏)
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