「しんぶん赤旗」

G20首脳会議―軍事攻撃許さない世論は鮮明

2013/09/09 09:51 投稿

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主張

G20首脳会議

軍事攻撃許さない世論は鮮明

 オバマ米政権によるシリアへの軍事攻撃の方針を、国際社会は許していないことがあらためて浮き彫りになりました。ロシアで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議を通じて、オバマ大統領はシリア攻撃を支持する多数派を形成しようとしました。しかし、米国への支持は広がらず、大統領は孤立感を深めています。オバマ政権は米国内でも厳しい批判にさらされています。内外の批判を押し切って、軍事攻撃に踏み切ることがあってはなりません。

攻撃支持は少数

 オバマ大統領は首脳会議の直前に訪問したスウェーデンで、化学兵器を使用したと米国が断定したシリアのアサド政権に対して、軍事攻撃を行う必要を主張しました。「問われているのは私の信用ではなく、国際社会の信用だ」と述べ、攻撃は国際社会の信用をつなぐ手だてだと強調しました。

 しかし、G20で米国の主張に同調したのは少数です。議長を務めたロシアのプーチン大統領によれば、軍事攻撃に支持を表明したのはフランス、カナダ、サウジアラビア、トルコと、議会が攻撃参加を否決したイギリスでした。一方、ロシア、中国、インド、インドネシア、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ、イタリアは反対を表明しました。米紙ニューヨーク・タイムズは、米国は軍事攻撃への「強力な(有志)連合の構築に失敗」したと指摘しました。

 シリアへの軍事攻撃は国連憲章に反する違法行為です。今日の世界で、他国への軍事攻撃が認められるのは、自衛の場合を除けば、国連安保理の決議による場合だけです。国連の潘基文(パンギムン)事務総長が、その点を再三にわたって指摘しなければならないことが、米国の判断の異常さと事態の深刻さを示しています。

 国際社会がこの原則にしっかりと立つことが重要です。原則を踏みにじり、有志連合をつくってイラクを侵略したブッシュ前米政権が、イラク国民と世界にもたらした痛苦の経験はなお生々しいものがあります。ブッシュ政権の誤りを批判し、国際協調をうたって大統領になったオバマ氏には、とりわけ重い責任があります。

 首脳会議で窮地に立ったオバマ政権は、国際的孤立の印象を避けるため、アサド政権が化学兵器を使用したと非難し、「責任をとらせる」とした共同声明への参加を各国に強く求め、日本など10カ国が応じました。

 しかし、その声明さえ軍事攻撃の方針を明示しませんでした。逆に、シリアの化学兵器貯蔵問題の解決には、国連を通じた長期の国際努力が必要だとしています。さらに、シリア内戦には「軍事解決はなく、平和的政治的解決を追求する」とも述べているのです。

 多くの国々が国連安保理決議なしの軍事攻撃を支持しておらず、平和的手段による問題解決を求めていることは明らかです。

反対の世論さらに

 オバマ政権は軍事攻撃を放棄せず、週明けには米議会の同意をとりつけようとしています。軍事介入は違法であるだけでなく、シリアの化学兵器問題も内戦も解決せず、逆に、中東地域の国々をも巻き込んで、事態をさらに困難にしかねません。軍事攻撃をやめさせるために、攻撃反対の国際世論をいっそう強めることが必要です。

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