主張
「ブラック企業」月間
若者を「使い捨て」から守ろう
若者を酷使し「使い捨て」する「ブラック企業」対策として、厚生労働省は、初めて9月を集中月間に設定して取り組みを実施します。長時間労働やパワーハラスメントに苦しむ若者たちが、泣き寝入りせず、勇気ある告発運動に立ち上がったことが、社会問題になり政府を動かしたといえます。まともに法律を守らず、労働者を「使いつぶす」企業は、社会的に存在が許されません。この「月間」を「ブラック企業」根絶への契機となるように、相談窓口への情報提供をはじめ、被害者が積極的に告発の声をあげ、社会的な運動にしていくことが期待されます。
当事者の勇気ある告発で
厚労省は、この「月間」で取り組む課題として、(1)長時間労働の抑制にむけて、若者の「使い捨て」が疑われる企業にたいする集中的な監督指導(2)9月1日に「全国いっせいの電話相談」実施(3)職場のパワハラ予防の周知啓発、の3点をあげています。いずれも大事な問題です。
しかし、長時間労働の抑制といっても、どれだけ成果をあげられるか簡単ではありません。労使協定で過労死ラインぎりぎりまで長時間の残業が合法的に設定されているケースなど、違法として是正指導できない場合が多いのが実態です。残業手当の不払いも「自主申告」などの手口で巧妙に隠されています。監督官が企業を訪問して、違法があれば是正指導することを期待するだけでは、たんなるキャンペーンで終わってしまいかねません。
そうならないためにも「ブラック企業」に悩んでいる当事者からの告発が重要です。「月間」では、1日の無料電話相談のほか、2日以後も全国の労働局や労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」などで相談や情報を受け付け、それをふまえて企業への監督指導を実施するとしています。当事者による告発は、違法をつかむ重要な手がかりになります。
労働時間は企業が責任をもって把握しているか、残業手当なしの「名ばかり店長」にされていないか、週休は取れているか、有給休暇は取れているか、健康診断はされているか、過大なノルマが強制されていないかなど、思い当たることを考えてみてください。自分の悩み相談だけでなく、家族、友人、知人の被害の情報もどんどん提供することが重要です。
厚労省は、よほど悪質でないかぎり企業名は公表しないといいます。「ブラック企業」としていま問題になっているのは、アパレルメーカーや外食チェーンなどの大手企業です。「ブラック企業」を根絶するために、大企業に正面から踏み込み、違法の事実があれば企業名を公表するという、断固とした姿勢を示すべきです。
社会的連帯で大運動を
「月間」だけでなく、日常的に違法行為を取り締まる監督官の増員など、国の監督指導体制を強化すべきです。同時に、労働組合や商工団体、教育関係者、法律家など社会的な連帯で「ブラック企業」を包囲することが重要です。7月には「被害対策弁護団」が結成されました。日本共産党国会議員団は「ブラック企業・雇用問題対策チーム」を発足させ、活動を開始しています。人間の「使い捨て」を絶対に許さない大運動を展開しようではありませんか。
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