「再編 国民は受け入れない」
新たな局面 共産党に切り開くカギ
「民主党というだけで拒絶感が示された」と参院選総括もままならない民主党。橋下徹共同代表が「大阪府・市に専念する」としていったんは共同代表辞任を表明した日本維新の会。幹事長更迭など混乱模様のみんなの党―。いま安倍内閣が暴走を加速させ、国民との矛盾を激化させる一方、日本共産党以外の野党は混迷を深めています。マスメディア関係者の多くは「共産党以外は、野党はがたがた」と異口同音に指摘します。
意味ない保守新党
野党の再編結集に腐心する民主党議員の一人は、「野党を再編し『結集する』というのは、散らばっている人間をまとめることなのだから、結局、政策はぼけてくる。かといって、維新やみんななどとの連携による『保守新党』では自民党補完ということにしかならず意味はない」と指摘。「このままでは自民党優位を覆せない」と焦りを見せつつ、「しかし何も決まらず動かないのは、結局民意の後押しがないからだ。存亡の危機だ」と唇をかみ締めます。
民主党執行部周辺からも「自民党補完と見られるのもダメ、かといって民主党を軸にした再編も国民は受け入れない。今は動けない」という声が漏れてきます。「民主党という党名を維持できるのか」と党の存亡にかかわる危機感を多くの関係者が語ります。
みんなの党も維新との連携などをめぐって党内対立が表面化し、江田憲司幹事長の更迭、中心メンバーの離党(23日)など混乱が続いています。
自民党との対決軸を持たず、国民の支持を失った補完政党は、いずれも立ちすくむ状態です。
一党優位安定せず
日本大学の岩崎正洋教授(政治学)は政党状況について指摘します。
「民主党も、もともとは新進党が崩壊する中で『第三極』的なポジションで出てきました。それでも一応、二極のうちの一極に行けたが、政策的に失敗して失速し、もはや自民党のオルターナティブ(代替)になりえません。維新、みんななど『第三極』も、この先の政治にどれほど影響を与えるのか見えにくい」
そのうえで「日本の政党政治が、再び自民党一党優位で安定するのかというとそうではない。自民党は得票率ですでに40%を切り、最近では20%台のときもあります。この十数年間はずっと連立政権で、従前の一党優位とは実質的に中身の違う状況です。今後の野党の戦略しだいではいくらでも変化が起こりうる。その意味で野党再編が鍵なのですが、民主、みんな、維新の組み換えでは難しいでしょう」と述べます。
岩崎氏はこうした状況のもとでの日本共産党の役割について述べます。
「共産党は、『反権力』だけでなく、より現実主義的な視点も加味して、政策的オルターナティブを示し、野党協力の明確なビジョンを出すべきでしょう。また、国会での取り組みで一定の役割を果たしていけば、日本の政党政治が次の段階に行くのではないか」
どの問題でも安倍自民党の暴走と対決して抜本的対案を示し、国会の内外で一点共闘の可能性を追求して奮闘する日本共産党のたたかいが、新たな政治局面を切り開く鍵を握っています。 (中祖寅一)