主張

TPP交渉参加

国民不在の交渉からの撤退を

 安倍晋三内閣は環太平洋連携協定(TPP)交渉の参加に暴走し、7月23~25日、マレーシアで開かれた交渉会合の最終盤に正式参加しました。政府は、今回は「情報収集が最大の成果」とし、これまで間接にしか情報が得られなかった交渉内容について、1000ページに及ぶテキストの分析を進めています。

民主主義に反した交渉

 正式参加で、交渉の秘密性や反民主的性格が明確になりました。政府は、現地に同行した国会議員や団体関係者にも、交渉内容の説明を拒否しました。交渉参加の冒頭で「守秘義務契約」に署名をしたからです。

 交渉は、すべての関税の撤廃とともに、国民の食や健康、安全に関わる規制も、貿易の障害と認定すれば撤廃・緩和の対象にするなど、参加国の主権を侵すものです。参院選で自民党が主張し、衆参の農水委員会も決議した重要品目の例外扱いは、保証がまったくないことも明らかになりました。

 しかも、2月の日米首脳会談でアメリカに約束した2国間交渉が同時並行で行われることは重大です。政府は、TPP交渉では食品の安全基準は対象になっていないなどとして、国民の目をそらそうとしていますが、アメリカが、多くの項目で非関税障壁の撤廃を求めていることにはふれません。

 TPP交渉への参加も日米並行協議も、アメリカと、多国籍企業の代弁者である日本の財界が最優先です。国民にはまさに「百害あって一利なし」です。交渉からの早期離脱と日米並行協議の中止こそ、国民の暮らしと生業(なりわい)に最良の道であることは明らかです。

 そのために決定的なのが、国民の世論と運動です。2010年に当時の菅直人・民主党内閣がTPP参加の検討を表明して以来、農林漁業、医療、建設、公共事業などの業界団体や消費者など幅広い関係団体をふくむ共同が大きく広がりました。

 参院選で多くの議員・候補者がTPP参加反対を訴えて当選したのも、こうした運動があったからです。政党としてTPP参加推進を掲げたのは日本維新の会とみんなの党だけであり、自民党は、重要品目が守れなければ交渉を離脱することを公約としました。

 TPP反対で結集した団体・関係者は、JAや医師会をはじめ反対の立場を堅持しており、政府がTPP協定に署名した場合の批准阻止も視野にたたかう決意を示しています。参院選後に開かれた北海道や秋田の集会では、安倍政権への怒りとたたかいの強い決意が示されました。「TPPに反対する弁護士ネットワーク」が7月29日に結成されたのをはじめ、新たな分野に運動が広がっています。

共同をさらに広げて

 これらの力がすべて結集されるなら、交渉から離脱させることは不可能ではありません。徹底した情報公開を要求しつつ、広範な人びとにTPP交渉の異常さと危険性を知らせ、各界・各分野の要求を尊重しながら、TPP参加反対の一点での共同をさらに大きく広げることです。

 日本共産党は参院選でも、TPP参加反対をアメリカ言いなりの政治をただす重要な政策としてたたかい、前進しました。その期待に応え、TPP交渉からの離脱の実現に力をつくします。