主張

ブラック企業

政治の責任で根絶の対策を

 労働者を心身の限界まで働かせて使い捨てる「ブラック企業」の告発が若者を中心に広がっています。日本共産党は、アパレルメーカー「ユニクロ」や居酒屋チェーン店「ワタミ」の実態を、元社員の告発をもとに、企業名をあげて国会で追及しました。これらの企業に限らず、いま人権を侵害する不当な退職強要や解雇など企業の「ブラック」化が目に余ります。日本共産党は、人間らしく働き生活できる社会の実現をめざして「ブラック企業」根絶のために全力をつくします。

運動で実った成果

 なぜ「ブラック企業」がはびこるのでしょうか。原因は、労働者を保護するルールが弱いことです。入社して2カ月後に過労自殺した「ワタミ」の26歳の女性は、深夜勤務で残業が月140時間を超えていたといいます。こんな異常な勤務を強いる企業がなくならないのは、労働基準法に残業を制限する規定がなく、労使協定(36協定)を結べば、企業の思い通りの長時間残業を命令できるしくみになっているからです。

 残業代も払わず長時間働かせ、「いやならやめろ」というような企業を放置するわけにはいきません。労働基準監督官の増員による取り締まり強化、長時間労働を規制する法改正など、政治が真剣に根絶対策をとる必要があります。

 日本共産党は、「過労死」や「サービス残業」など企業の横暴勝手から働くものを守るために大きな役割を発揮してきました。「過労死」をなくすためには残業の制限が必要だとして、1992年に労働基準法改正提案・大綱を発表しました。残業の上限を1日2時間、月20時間、年120時間にするという内容です。当時こういう提案をした政党は日本共産党だけで、フランスの新聞が注目して報道したほどです。

 提案をもとに各界との懇談を重ね、国会質問で提起し、「過労死なくせ」という運動と力を合わせて世論を高めました。ついに労働省(当時)が腰をあげ、98年に残業の上限を「年間360時間」などとする告示を出しました。運動すれば変えられることを示した貴重な成果であり、当面、これを法制化させる運動が重要です。

 残業代を払わない「サービス残業」は、明白な企業犯罪です。日本共産党が76年から国会で300回を超えて追及したことが実り、2001年4月6日に厚労省が根絶のための「通達」を出しました。企業の責任で労働時間を管理し、賃金の不払いがないようにするという内容です。これ以後、労基署の取り締まりが強まり、是正された不払い額が毎年発表されるようになりました。企業向けの労働法解説本も「通達」にそった改訂版が出され、「野党議員」の国会質問がきっかけだと解説する本もあったほど威力は絶大でした。

働くルールをつくる

 大企業の非正規切り、違法派遣の横暴が広がったとき、労働者を守るために志位和夫委員長が経団連やトヨタなど大企業と直談判したのも日本共産党ならではです。

 解雇の自由化、派遣労働の拡大、残業代ゼロなど、安倍晋三政権がすすめる「成長戦略」は日本全体を「ブラック企業」化するものです。日本共産党は安倍政権と対決し、人間らしく働くルール確立のために力をつくします。