ワタミ創業者の比例候補に配慮か
自民党が「若者の『使い捨て』が疑われる企業等への対応策の強化」として4月に発表していたブラック企業対策が、同党の参院選公約からスッポリ抜け落ちていることが話題になっています。
自民党の雇用問題調査会は4月19日、「今後の我が国の成長を支える若者・女性・高齢者の就業の在り方に関する提言」をまとめました。
提言では、社会問題となっているブラック企業を念頭に「問題のある企業等への入職抑制策の検討」「重大・悪質な法違反がある場合の司法処分と企業名公表」と具体策を盛り込んでいました。
同調査会事務局長の鈴木淳司衆院議員は「この提言は、参議院選挙公約にも盛り込まれ、またこの先まとめられる政府の基本方針にも反映される予定である」(議員ホームページ)としています。
ところが、自民党の「参議院選挙公約2013」には、提言にあった文言は一切載っていません。
なぜか―。
過酷な長時間労働で従業員が自殺に追いこまれるなど、「ブラック企業大賞」に選ばれた居酒屋チェーン「ワタミ」の創業者、渡辺美樹氏を同党の参院選比例候補として公認したことと無関係とは思えません。
渡辺氏は5月31日、公認を受けて党本部で記者会見した際、4月に安倍晋三首相と会食したときに直々に出馬を要請されたと説明しました。ブラック企業対策が公約から消えたのは、ワタミへの配慮ではないのか―。
当の渡辺氏自身、5月31日付の自らの公式サイトで、「一部の情報だけをもって、一方的にワタミグループをブラック企業と呼ぶことは、到底、受け入れられるものではない」と主張しています。
元従業員らがワタミでの過酷な労働を告発する中、自民党も渡辺氏も社会問題化するブラック企業が存在しないかのような態度は、根絶する姿勢を持ち合わせていないことのあらわれです。
アベノミクスの「成長戦略」で、解雇の自由化、残業代ゼロ、派遣労働の野放図な拡大など、日本社会全体を「ブラック企業」に変えてしまう自民党に参院選で「ノー」を突きつけることが求められています。