主張
「成長」「骨太」決定
「企業が活躍しやすい」の正体
安倍晋三政権が、「アベノミクス」第3の柱の「成長戦略」と「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)、「規制改革」の実施計画を閣議決定しました。安倍首相は就任以来、「大胆な金融緩和」「機動的な財政政策」とともに、「成長戦略」で「世界一企業が活躍しやすい国」をめざすとしてきました。閣議決定した「成長戦略」や「骨太方針」は、「企業が活躍しやすい」との言葉通り、大企業の「自由」は拡大する一方、国民の暮らしは切り縮める、「アベノミクス」の正体を浮き彫りにするものです。
財界・大企業の自由拡大
「日本再興戦略」と銘打った「成長戦略」が、大企業の「自由」やもうけを増やすことしか考えていないことは、当初の素案にくらべ、最終案でさらに財界・大企業が要求した減税などが追加されたことをみても明らかです。
「成長戦略」にはもともと首切りがしやすい「多様な正社員」を導入することや「残業代ゼロ」の「裁量」労働や派遣労働を拡大することなど、大企業にとって「首切り自由」「ただ働き自由」の拡大が盛り込まれていました。原発についても「活用」を明記し再稼働や輸出を推進し、環太平洋連携協定(TPP)参加はすすめる内容です。財界の要望に沿い国民の願いは踏みにじるものです。
最終案でさらに追加されたのは、「素案では力不足だ」という財界の声に応える、設備投資減税や研究開発減税の拡大です。設備投資減税でうるおうのはまず大企業です。参院選後の国会に「産業競争力強化法」を出すことも約束しました。財界が強く要求した法人税の実効税率引き下げは盛り込まれませんでしたが、検討を示唆しています。まさに暴走です。
「成長戦略」が「一丁目一番地」という「規制緩和」のため、最終案で医薬品のインターネット販売を原則解禁したことや、保険診療と保険外診療の併用で医療に差別を持ち込む「混合診療」を拡大する方向を盛り込んだことも重大です。医薬品のネット販売解禁は素案では見送られていたのに「成長戦略」を決めた産業競争力会議の財界人の一人が強く要求し、首相の決断で盛り込まれたといいます。まさに“お手盛り”であり、政策私物化の典型です。
「成長戦略」のこうした財界・大企業への大盤振る舞いは、政府が4年ぶりで決めた経済財政運営の「骨太方針」で、社会保障などを「聖域とせず、見直しに取り組む」ことを明記し、消費税増税に「着実に取り組む」と打ち出したことと対照的です。法人税は減税し、消費税は増税するなど言語道断です。安倍政権には、国民の暮らしは眼中にありません。
多国籍企業だけが栄え
「アベノミクス」はすでに、金利の上昇、株価の乱高下などで足元がふらついています。もともと国民の所得を増やさなければ、経済も財政も立て直せません。
「成長戦略」が、「国民総所得(GNI)」を目標に掲げたことは重大です。GNIは企業の海外でのもうけを国内総生産(GDP)に加えたものです。多国籍企業化する大企業に都合のよい指標です。
大企業が国内の雇用を減らし「空洞化」させても海外でもうければいいという、まさに“亡国”の道を許さないためにも、「アベノミクス」は中止すべきです。
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