主張
2度目の越年
「人間の復興」こそ中心に
東日本大震災の被災地は厳しい2度目の冬を迎えています。大地震と大津波、原発事故によって住み慣れた故郷を追われ、いまだに約32万人が避難生活を強いられて年を越します。震災直後の避難者約47万人の6割以上にあたる人たちが1年9カ月たっても“安住の地”を確保できない深刻な現実です。大規模な災害と立ち向かい生活再建と復興にむけて懸命な努力を続ける被災者を支えるため、政治が従来の枠を超えて支援することがいよいよ求められます。
住まいと暮らしの支えを
例年を上回る猛烈な寒波が年末の被災地を襲っています。プレハブ仮設住宅では、被災者が光熱費のかさむことを気にしつつ電気ごたつやエアコンなどで暖をとりますが、底冷えする室内を十分暖めるには限界があります。
隣家を隔てる壁は薄く、近所に迷惑をかけたくないと、小さな子どものいる家庭などは子どもの声が響かないようにと苦労がたえません。高齢者からは「仮設では死にたくない…」という悲痛な声も上がります。長びく避難生活は、多くの被災者を肉体的にも精神的にも疲弊させています。
2度目の冬を迎え被災者が不安に感じているのは住まいの問題です。政府の対策は被災者の要望と実情に見合っていません。
住宅を自力で再建する被災者を支援する政府の枠組みは、全壊世帯に最大300万円を支援する生活再建支援制度だけです。独自に支援を上乗せする自治体もありますが、被災した家屋のローンを抱えたうえ収入も減少した被災者にとって、住宅再建はきわめて困難です。政府は、「個人財産の形成になる」という姿勢を根本的にあらため、手厚い公的支援への道に踏み出すべきです。
やむなく“自力再建”を断念した被災者の多くが希望する「災害公営住宅」建設も遅々としてすすんでいません。宮城県では約1万5千戸の供給計画のうち工事契約などの着手は約2割、実際に工事が始まったのは数%です。地域の実情や住民の要望を踏まえた住宅整備の促進が急がれます。被災者が将来の住まいに見通しがもてる住宅再建とまちづくりをすすめるための総合的な対策が不可欠です。
住まいの問題だけではありません。地域経済を支える雇用の確保や営業の再開も困難な状況が続きます。とりわけ中小零細企業への対策は不十分です。グループ補助金などの制度の改善が急がれます。避難生活の長期化によって被災者の健康保持が重要になっているのに医療・介護負担金への軽減・免除を国が9月で打ち切ったことも重大です。一方的に打ち切る冷たいやり方はやめるべきです。
復興基本法の抜本見直しを
原発によって甚大な被害を受けた福島県には特別な手だてが必要です。長期にわたる国の支援体制をつくることが求められます。
被災地の現実は、これまでの政府の従来型の復興対策の限界を示すものです。自民・公明・民主各党がつくった「復興基本法」は、被災地と無関係な事業に多額の復興予算が流用された問題が示すように、被災者の願いにこたえる枠組みではありません。「基本法」の抜本的な改正が急務です。震災からまもなく2年、被災者が希望を持てる「人間中心の復興」へ日本共産党は力を尽くします。
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