主張

ロックアウト解雇

社会的な連帯で撤回求めよう

 終業時間直前に上司から個室に呼ばれ、「貴殿は、業績が低い状態が続いており」と解雇通告が読み上げられます。そして「終業時刻までに私物をまとめて帰れ。あすから出社禁止」といわれて、職場から追い出されます。これが日本IBMでおこっている「ロックアウト解雇」です。

 全日本金属情報機器労働組合(JMIU)日本IBM支部の組合員3人が昨年10月、「解雇無効」を訴え、東京地裁で係争中です。そのさなかの5月下旬以降、新たに女性の支部役員など3人に解雇が通告されました。こんな無法を絶対に許すわけにはいきません。

「成績不良」の説明なし

 日本IBMのひどさは、労働者の「成績不良」を口実に、日常的に解雇に追い込む手法をとっていることです。同社には「ボトム10%」ということばがあります。5段階で成績を評価し、下位10%にされた労働者を解雇の対象にするのです。リーマン・ショックがおこった2008年秋、1000人規模の人員削減計画をたてたときは、企業の減収分5%を加えて「ボトム15%」を削減の対象にしました。管理職は部下の削減ノルマの「必達」が成績評価にされ、退職強要の嵐が吹き荒れました。

 日本IBMはいま、1万4000人の労働者を1万人に減らそうとしています。労働者を個室に呼んで「成績不良」を理由に解雇を予告し、数日内に自己都合退職届を出せば、解雇を取り消し、加算金を出すといって労働者に選択を迫ります。解雇をちらつかせて自主退職に追い込むやり方です。そしてあくまで拒否してがんばった労働者を「ロックアウト解雇」するのです。

 会社は、解雇理由にしている「成績不良」の内容について労働者に何も説明しません。どこが不良なのか評価を聞いても答えません。日本IBMに限らず、大企業の成績評価は「相対評価」です。労働者がみんな残業、休日出勤で最高ランクの目標を達成しても、5段階の「相対評価」だと必ず一定の割合の労働者が最低ランクにされるのです。

 業務の成績は優良でも、上司の恣意(しい)的な判断で、何の根拠もなく最低ランクにされ、それが日本IBMでは「ボトム15%」として解雇の対象にされるのです。こんな理不尽なことはありません。

 しかも日本IBMの「ロックアウト解雇」は、退職を拒否した労働者を追い出す悪質な不当解雇であるとともに、退職強要をうけて苦しんでいる労働者の相談にのり、負けずにがんばろうと呼びかけてたたかう労働組合員を狙い撃ちした、組合つぶしの不当労働行為としてきわめて重大な問題です。

連帯してたたかう

 日本IBMの事態は、個別の問題ではありません。「追い出し部屋」による退職強要が問題になったソニー、パナソニックの例など大企業の無法なリストラ・解雇が目に余るばかりに横行しています。安倍晋三政権の規制改革論議では、「日本は正社員が世界一守られている」といって、解雇自由化の大合唱です。日本を解雇自由の国にしないためにも、日本IBMの無法をやめさせることは重要な社会的意義をもっています。「ロックアウト解雇を撤回せよ」。連帯してたたかうときです。