政党助成金

解散した政党も がっぽり

 国民の税金である政党助成金(年総額320億円)を日本共産党以外の各党が山分けしていることに、「国民に負担増を押し付けて自らは税金頼みか」との批判がわきおこっています。すでに解散した政党にも政党助成金がわたり、来年には新党も次々受け取ろうとしています。国民との結びつきを失わせ、政党の堕落をもたらす政党助成金の害悪がはっきりしています。

 今年最終分の政党助成金の交付では、新党きづな、太陽の党、新党大地、新党日本の4党が、すでに総務省に解散届を提出していながら「特定交付金」という名目で計1億5523万円を受け取りました。

抜け道利用して

 政党助成法には、5人以上の国会議員がいることなどの政党要件を満たさなくなった場合でも、政党助成金を受けたいと申請すれば残額分の一部をもらえる“抜け道”規定があるためです。

 なかでも、石原慎太郎代表で発足した「太陽」は露骨です。政党助成金交付対象となっていた「たちあがれ日本」を「太陽」に党名変更することで政党助成金受け取りの権利を引き継ぎました。その後、日本維新の会に合流し、解散届とあわせ政党助成金を受け取りました。

 解散した4党の年内受け取り総額は、すでに交付された3回分を含めると6億93万円にのぼります。

4173万人分も多く

 日本共産党以外の政党は来年もそろって政党助成金を山分けしようとしています。先の総選挙結果で試算すると、自民党の年交付総額は145億9000万円、民主党は85億5800万円です。

 政党助成金は国民1人250円で計算されるので、自民党の交付総額は5836万人分に相当しますが、先の総選挙での同党比例得票は1662万4457票。約4173万人分も多く受け取ることになります。民主党も実際の比例得票数より2460万人分も多くなります。

 「政党を支持するかしないか」「どの政党を支持するのか」といった考慮がまったくなく、国民に“強制献金”をさせているのが政党助成金です。

既得権益攻撃の一方で

■日本維新の会

 日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長は、文楽への補助金25%削減や市民交流センター廃止、老人憩いの家運営助成金削減、コミュニティーバス運営補助金削減などを強行しながら、政党助成金については「(政治家の自立とは)全然矛盾しない。決められたルールの中で、公平、透明に受け取るのだから」(9月12日)と当然視しています。

 維新はできたばかりで政党助成金は受け取っていませんが、「(企業献金なしで)どうやって活動するのか。選挙をただでやれというわけにはいかない」として、政党助成金が受け取れるまでの「隙間」は企業・団体献金を受け取る姿勢を示しました。11月20日には、「一定の上限を設けて企業・団体献金を認める」として、「維新八策」の「企業・団体献金の禁止」を撤回。企業・団体献金と政党助成金の両方を受け取ることを宣言したのです。

 維新は総選挙直前に石原慎太郎前東京都知事率いる太陽の党を吸収。「太陽」は政党要件喪失を総務省に届け出ながら、今年の政党助成金の残額(12月分)2896万円の交付を受けました。維新への“持参金”となった形です。総選挙の結果、維新には来年、27億2500万円の政党助成金が支払われる見込みです。

 市民の生活や文化の担い手を“既得権益”と攻撃しながら、政党の既得権益=政党助成金はもらうという不誠実な姿勢が橋下「維新」の実態です。

■みんなの党

 「既得権益に食いつぶされてきた国民の貴重な税金を…国民のもとに取り戻します」

 衆院選公約(アジェンダ)にそう盛り込んだみんなの党(渡辺喜美代表)ですが、約2億8千万円の政党助成金(12月分)をしっかりと受け取りました。

 衆院定数で180、参院142もの大幅削減や、衆参議員宿舎を売却するなど議員特権の廃止を主張。「国会議員が自ら身を切る」との訴えを党の売りにしながら、政党助成金については「情報公開を進め」(アジェンダ)るというだけです。

 2011年に受け取った政党助成金が、収入全体に占める割合は96・8%に達します。民主(83・2%)や自民(72・5%)と比べても、どっぷり“税金漬け”の政党です。「業界団体頼みの献金を断ち切り、しがらみのない政治を実現するため、政治活動への公的助成は必要」(11月30日、党談話)といって、悪びれる様子がありません。
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