首相歴史認識に米懸念

米議会調査局が報告書

「米の利益損なう」 「侵略と犠牲否定」

 【デトロイト=山崎伸治】米議会調査局はこのほど、日米関係に関する報告書を公表しました。その中で安倍晋三首相とその閣僚が「慰安婦」や教科書、靖国神社参拝などの歴史問題で「地域の関係をだめにしかねず、米国の利益も損なわれる」と懸念を表明しました。

 同調査局が1日付でまとめた報告書は安倍氏について「民族主義的言明」や「国防・安保問題での強力な立場」で知られ、日本が集団的自衛権を行使できるよう憲法解釈を変えるべきだとの主張は「軍事協力を進めたがっている米政府関係者に歓迎された」としています。

 一方、安倍氏は「日本の歴史について修正主義的見解を持ち、旧日本帝国の侵略とアジア諸国民の犠牲を否定する」と指摘。閣僚には「超民族主義的」見解を持つ者もおり、安倍氏は「激しく民族主義的な維新の会の圧力を受けている」と指摘しています。

 「慰安婦」問題で安倍氏は中国、韓国だけでなく2007年には米議会からも批判されたと明記。米国内でも記念碑の設置や州議会での決議の採択などを通じ、この問題が知られるようになっているとしています。

 報告書はまた環太平洋連携協定(TPP)について「事実上の日米FTA(自由貿易協定)」だと明記。日本の参加に歓迎を表明しています。