主張
労働規制改悪
財界の横暴に連帯して反撃を
経団連がこのほど、労働分野の「規制・制度改革」に政府が「強いリーダーシップを発揮」するよう求めた提言を発表しました。現在の労働基準法は明治時代の工場法の流れをくんだもので、いまの実態に合わないと強弁し、労働時間規制の見直し、「労働移動」の基盤整備、職務や勤務地などを限定した正社員づくりと解雇の自由化などの実行を主張しています。政府の産業競争力会議や規制改革会議で議論されている内容とほとんど一致しています。政府の議論が労働者の反撃で挫折することがないように、財界総本山が直接身を乗り出してきたといえるものです。
労働者の移動強制
労働分野の規制緩和は、安倍晋三政権が経済政策の「三本の矢」の3番目に放つ「次元の違う成長戦略」の柱です。次元の違いとは、まさに経団連の意向にそって労働者保護の法制を破壊する容赦のなさにほかなりません。
経団連の提言は「成熟産業から成長が見込まれる産業への人材の移動」が重要な課題だといいます。政府の目標もこれです。なぜ「移動」なのか。「成長産業」の労働条件が多少でもましなら、特別の対策をとらなくても労働者は自然にそこに移動するはずです。しかし経団連や政府が成長産業といっている社会福祉、流通などのサービス産業の多くは低賃金、不安定雇用で、人手不足なのに人があつまりません。一方で大企業は、事業再編による大規模なリストラをすすめており、少ない経費で一気に人員を削減しようとしています。
「労働移動」は、大企業が正社員雇用を流動化し、待遇が悪かったり非正規だったりの職場に転換させるルートをつくることです。民間職業紹介事業の活用や助成金制度で大がかりに実行しようというのが「規制改革」の議論の中心になっています。「限定正社員」という、働く地域や職務などを限定した雇用はその一つです。「限定」つきなので、いわゆる正社員に比べて賃金が安くなります。
しかも就業規則に定めて、勤務する事業所や職場がなくなったら解雇できるようにします。いま正社員である労働者の転換も検討されており、雇用はますます不安定化することは明らかです。
経団連の提言がとりわけ強い調子で攻撃しているのが労働基準法の労働時間規制です。このなかで「営業職を含む事務職や研究開発職等の一部の労働者について、労働時間規制、深夜・休日労働規制の適用を除外することを認める制度」を求めています。ホワイトカラー労働者を8時間労働制の対象外にして、残業手当を払わなくてもよいとするものです。第1次安倍内閣が7年前、労働者の批判をあびて出せなかった「残業代ゼロ法案」の復活です。
暴走反対のたたかい
安倍政権と経団連の労働分野の「規制改革」は、働くものの生活を根底から破壊する暴走です。労働者、国民が連帯して反対するたたかいの強化が急がれています。
経済の回復は、国民の所得を増やすこと抜きには実現しません。いま政治がやるべきことは、大企業がもっている260兆円の内部留保(余剰資金)を動かすことであって、労働者を不安に陥れる労働移動ではありません。内部留保の一部を賃上げと安定した雇用にあてる「成長戦略」こそ必要です。
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