テレビ朝日「報ステSUNDAY」
志位委員長の発言
2日のテレビ朝日「報道ステーションSUNDAY」には、日本共産党の志位和夫委員長をはじめ、日本維新の会の橋下徹代表代行、日本未来の党の嘉田由紀子代表、みんなの党の江田憲司幹事長ら6党・6氏が出演しました。主なやりとりを紹介します。
選挙目当ての離合集散―政党助成金制度が政党劣化の一つの原因
「卒原発」「脱原発」などを掲げて新しい党が乱立するなか、キャスターの長野智子氏は番組冒頭で「共産党は政党のなかで長い歴史を誇るが、どうみるか」と問い、志位氏はこう答えました。
志位 国民のみなさん、「選挙目当ての離合集散がひどすぎる」という批判を持つ方が多いと思います。
私が一言いいたいのは、政党助成金という制度がこの政党の劣化の一つの原因になっていると(いうことです)。
つまり、選挙で票と議席さえ手に入れると、後は国からお金がくる。そういうことで政党の乱造現象がおきているのではないか。
本来ならば、政党というのは、党員を増やし、組織をつくり、自前のお金をちゃんと確保して国政に打って出る―これが当たり前のことだと思うのですが、それを壊しているのが政党助成金じゃないか。
おととい出された発表では、自民党の収入の72%、民主党の収入の83%が政党助成金です。こうなってくると“国営政党”です。政党の堕落だと思います。(長野キャスター「なるほど」)
私たちは、憲法違反の制度として受け取っていませんけれど、政党の在り方としてもこれでいいのかと(思います)。ぜひ、政党助成金は撤廃すると。「身を切る」というなら撤廃すると。新しく新党になった方も「もうそこをやめる」というくらいのことをやらないとダメです。
「○○年後」という議論は再稼働が前提―「即時原発ゼロ」が一番現実的
原発をなくしていく「工程」が議論となり、「未来」の嘉田氏が「発送電を分離し、自由化する」など10年間で廃炉を目指すとしたのに対して、「維新」の橋下氏は「10年後という年限を切るのは早い」などと応酬するなか、志位氏は次のように主張しました。
志位 私たちは「即時原発ゼロ」と言っています。5年から10年の過渡的期間は火力と節電で対応して、その期間に再生可能エネルギーを爆発的に普及すると(いう考えです)。具体的なプログラムを示しております。
10年後、20年後、30年後、40年後、いろんな議論がありますが、結局その議論というのは再稼働ということになるんです。(長野キャスター「そこですね」)
では、再稼働ができるのか。たとえば大飯原発の直下に活断層が走っている、このことはあの評判の悪い原子力規制委員会も否定できなくなりました。これは活断層が走っているということになると廃炉にするしかないのです。
そして、日本の津波と地震の学問的知見というのは大震災をへて、根底から見直さなければならない。これはもう10年、20年ではできないような見直しが必要です。
それだと、もう再稼働はできない。できないならば、止めたまま廃炉に向かうというのが一番現実的な方法だと(思います)。
もう一つ、政府が認めたことで「原発には絶対安全なし」と(いうのがあります)。そうなると、原発を稼働させたら、福島のような事故が起こるという可能性は否定できない。その時、誰が責任を取るのか。
「即時原発ゼロ」を決断してこそ、再生可能エネルギーの普及も進むと。(長野キャスター「決断から進むということですよね」)
「日本未来の党」―再稼働の是非はあいまい
続けて志位氏は、「卒原発」を掲げた「未来」の嘉田氏に次のような疑問をぶつけました。
志位 嘉田さんにお聞きしたい。結局、再稼働をどうするのか。この問題になります。昨日(1日)、嘉田さんはいったん再稼働を容認された。そのあと再稼働やるのは「針の穴を通すより難しい」とおっしゃいました。しかし、再稼働をする「穴」は開いていない。「穴」そのものがない。
ですから、そこまでおっしゃるなら、私たちのように「即時ゼロ」に踏み切ったらどうかと(思います)。共産党はそのように言っています。
長野キャスターも「原子力規制委員会が安全性を認めれば、再稼働容認と昨日発言された」と続けて問うたのに対し、嘉田氏は「手続きを説明した」と弁明。「いま、ここで未来の党は大飯(原発)の3、4号機の停止を求める」と述べました。
ところが――。
志位氏が「それ以外の原発はどうしますか」と重ねて問いただしたのに対し、嘉田氏は次のように答えました。
嘉田 それについてはいま、危険度をランク付けをしながら、安全性の担保ができたところに対しては…(言葉につまる)。ただ、本当に今の規制庁そのものが国会人事じゃない。それから、そもそも安全基準をつくる途中の信頼ができません。この間放射性物質の拡散シミュレーションを出しましたけど、あんないいかげんなことをしていたら、信頼できない。
原子力規制委員会の信頼性の問題に話をすり替え、「再稼働」については、あいまいにしたまま逃げるという姿勢を示しました。
「原発ゼロ」で高コストは脅し―原発こそ高コスト
番組は「原発ゼロ」で電力料金が大幅に上昇することで、「産業の空洞化」が懸念されるなど、経済界の声を紹介しました。これに対して、志位氏は次のように発言しました。
志位 (電力の)コストが高くなるというのは、全くウソです。政府が出している試算は、たしかに原発をゼロにした場合に2倍になると(いっています)。ところが、原発が20~25%の場合でも1・8倍でほとんど変わらない。ですから、そういう恣意(しい)的な数字を出して脅しつけるのはまったくの間違いです。
それから、私たちは、例えば当面の火力の問題でもLNG(液化天然ガス)を確保する必要がありますが、日本の場合は、原油と天然ガスがセットで価格設定されているために、対米輸出の価格の場合の9倍もの値段を払っています。これを全部取り払ってきちんと安く確保する。
そして、自然エネルギーというのは初期投資に一定のお金がかかりますが、普及が進めば進むほどコストは安くなります。例えば、風力は2020年には火力より安くなるという試算があるわけです。
価格が高いというのは間違いで、高コストというのなら原発こそ最大の高コストだということは、国民のみなさんがみんな体験したことです。
「日本維新の会」――原発ゼロの方向性さえ雲散霧消
「2030年代までに原発をフェードアウト(消失)」という日本維新の会の原発政策をめぐって、「公約ではない」と強調する橋下氏に、志位氏は次のように問いただしました。
志位 橋下さん。この前の党首討論会で、石原(慎太郎)さんが「2030年代までにフェードアウトすることになる」と書いてあると言われ、「それは違う」といいました。いま、橋下さんは、「これは公約ではない」と言いましたね。
これは、公約ではないということになるのかもしれないが、あのときに石原さんは「2030年代までになくすということ自体が暴論だ」と。「暴論」とまでいいました。そうなってくると、結局、「維新」という党が、「方向性をはっきりさせるのが自分たちの仕事で、細かいことはきちんとあとで詰めていけばいい、シミュレーションをしていけばいいんだ」というけれども、方向性がはっきりしていないのではないか。
こうただした志位氏の質問に、橋下氏は次のように開き直り、「原発フェードアウト」の方向性すら雲散霧消させました。
橋下 志位さん。政治家が示すのは「何年にゼロにするか」という話ではなくて、「電力市場の自由化をやるのか」「規制緩和をやるのか」「どういう安全基準をつくるのか」「使用済み核燃料のルールをどうするのか」。ここが、政治家のやるべきことであって、そこをやっていきましょうということを公約にしました。
(みんなの党の)江田さんはいいました。「2020年代になくなるだろう」「自然エネルギーと原発のコストが逆転するだろう」と。ただ僕の認識では、それでは20年なのか、30年なのか分からない。あれは政策実例のときに、30年ぐらいには逆転するだろうと示したわけで、あれは公約でもありません。
志位 しかし、あなた方の党首が「暴論」といっている。「30年代にやるというのは暴論だ」と否定している。
この追及に橋下氏はなんら答えず、最後まで「10年後ゼロか、20年後ゼロか、こんな議論ばかりしているが、何をやるのかという議論がまったくとんでいる」などの主張に終始しました。