フジテレビ「新報道2001」
市田書記局長の発言
日本共産党の市田忠義書記局長は2日、フジテレビ番組「新報道2001」に出演し、各党代表と討論しました。
原発政策をめぐって
原発ゼロで電気代上がるは問題の立て方がまちがい
番組では、電力各社の電気料金引き上げの問題や、経済への影響が強調され、司会者が「電気料金が大幅に上がっても脱原発を進めるべきか」と質問、市田氏は「上げなくても可能だ」「問題の設定の仕方がおかしい」「前提が違う」と述べ、他党からも同様の指摘が相次ぎました。
市田 政府の試算をみても、2030年に原発ゼロにした場合、月額1万円が2万円になる。しかし、原発に20%、25%依存しても1万8000円で、あまり変わらないんです。だから電気代が“高くなる、高くなる”と脅して、“原発をやめろというのは無責任だ”といういい方は、問題の立て方が違うと思います。
原発ゼロは一番責任ある、確実な方法
これに対し、「日本維新の会」の橋下徹代表代行は、「いまの段階で何年にゼロにするなんて議論するのは無理だ」と述べ、原発ゼロの方向性さえ示せませんでした。自民党の石破茂幹事長も「選挙目当てにゼロにするとかの話ではない」「安全性が確保されたとき、エネルギーの事情(需要)が必要であれば新増設を全く否定しない」と述べ、新増設もありうるとの立場を示しました。市田氏は次のように反論しました。
市田 「原発ゼロ」は無責任ではなく、一番責任ある、確実な方法です。(福島では)いまだに16万人が避難して、ふるさとにいつ帰れるかわからない。10年以内に福島原発事故なみの事故が起こる可能性があると、政府の原子力委員会が示している。こういうときに、ゼロをきちんと決断することが非常に大事です。
国民の努力で原発ゼロでやっていけることは証明された
議論は、停止中の原発の再稼働を認めるかどうかが焦点となり、30年代に「ゼロ」とする民主党の岡田克也副総理も「再稼働は当然ある」、“40年代ゼロ”の公明党の高木陽介幹事長代理も「再稼働はありえる」、“20年代ゼロ”のみんなの党の江田憲司幹事長も「政治決断で、それ(再稼働)はありうる」とこぞって再稼働を認める考えを示しました。
市田 再稼働はすべきでない。いま動いているのは大飯だけです。関西電力は、大飯が動かなくても、あの暑い夏足りたと(説明している)。国民のいろんな努力で原発ゼロでもやっていけるということは証明された。
稼働を続けるかぎり、処理方法のない使用済み核燃料がたまり続けます。福島原発のような事故が起こったら経済も暮らしも地域社会も崩壊してしまうような大きな被害をこうむるわけですから、原発ゼロを決断すべきです。
電気代と原発存続をてんびんにかけるな
番組側は、それでも電気料金の問題に固執し、値上げを抑える手法はあるかと問いかけました。市田氏は次のように答えました。
市田 電気代の問題と原発を使い続けるということをてんびんにかけてはだめです。命や経済や日本社会が成り立つかどうかというぐらい、被害をこうむったわけです。
電気料金は総括原価方式で、かかったコストも、もうけも全部消費者に転嫁し、電気料金にかぶせられているわけですから、(電気料金の決め方は)ブラックボックスです。これを国民の監視のもとに置くべきです。
“天然ガスがものすごく高いじゃないか”というが、アメリカの9倍の値段で買っている。これをもっと下げさせるべきです。
原発が一番コストが高い。除染も賠償も廃棄物処理も、廃炉に至る過程でもものすごくお金がかかるんです。
橋下氏が、「原発をいますぐゼロにするとか、何パーセントにするとか、そんなことは政治家には決められない」などと発言したのに対し、市田氏は「政治が決断すべきものだ」と反論。各党からも「それでは政治家はいらない」との意見が相次ぎました。橋下氏は「私は2030年代ゼロを目指す」と発言。これに対し市田氏は、維新の石原慎太郎代表がその公約を取り消すと表明したことを念頭に、「取り消したではないか」と指摘。「違う」といい張る橋下氏に対し、「ごまかしたらだめだ」と批判しました。
フジテレビの平井文夫氏は、すぐに原発を止めるというのは「非常にシンプルで分かりやすい」と指摘。日本未来の党に対し、「即時ゼロの共産党と同じか」と繰り返し質問しました。しかし、同党の岡島一正・前衆院議員は「基本的に、再稼働はしない」「できうる限り止める」などと曖昧な答弁しかしませんでした。
「国防軍」創設をめぐって
戦争しない歯止めを取り払う狙い
自民党が政権公約で憲法を改悪して「国防軍」を創設することを明記したことが議論になりました。
同党の石破幹事長は、「外向きには軍だ、内向きには軍ではない、そういうごまかしはやめるべきだ」と正当化。維新の橋下代表代行は「占領軍の時代につくられたものを日本にあわせた憲法に変えなきゃいけない」と語りました。
市田 いまの自衛隊は、どこから見ても憲法に違反しているとわれわれは思っていますが、(憲法を変えて)国防軍、あるいは自衛軍にすることは、たんに名前を変えるだけじゃないと思います。
これまでの政府の見解は、(自衛隊は)自衛のための最小限の実力部隊であって海外で武力行使をやってはならない。テロ特措法もイラク特措法も全部武力の威かくや武力の行使にあたるようなことはやってはならないと(定めています)。その歯止めをとりはらうと(いうことです)。憲法9条が歯止めになって、自衛隊は外国人をひとりも殺していない、戦死者も出していない。(その歯止めを取り払って)戦争する国にするのは論外だと思います。