主張
朝鮮半島の緊張
いまこそ平和の努力を強めて
北朝鮮が挑発的言動を繰り返し朝鮮半島の緊張が高まるなか、外交による問題解決の道が従来にも増して真剣に探求されなければなりません。ケリー米国務長官の韓国、中国、日本歴訪などを通じて、関係各国が協調して緊張激化に反対し、北朝鮮に核兵器の放棄を迫る姿が浮かび上がっています。潮目の変化をつかみ、北朝鮮問題の平和解決に向けた流れにつなげる努力がいまこそ必要です。
悪循環抜け出せ
北朝鮮の挑発的言動に予測は禁物です。韓国と共同で運営する開城(ケソン)工業団地から労働者を一方的に撤収させたことは、経済開発を犠牲にしてまで軍事緊張を高めるのかと衝撃を与えました。挑発的言辞はいまも続いています。ただ、日米韓が先月来警戒している弾道ミサイル発射はこれまで行われていません。
北朝鮮はこれ以上の発射や核実験などの重大な挑発をやめ、他国を威嚇する無責任な挑発的言辞を慎むべきです。米国も、米韓合同軍事演習での軍事力をみせつける行動など、挑発の口実を与える行動を自制すべきです。
北朝鮮が「核兵器保有国」としての国際的認知を得ようとする以上、弾道ミサイルを発射しない保証はありません。国連安全保障理事会が全会一致で採択した決議は北朝鮮の核実験とともに弾道ミサイル発射を厳しく禁止しています。これ以上の発射は国際社会全体へのあからさまな挑戦です。
北朝鮮が核兵器にあくまで固執するなら、国際社会からのいっそうの孤立と制裁強化は避けられません。孤立を深めるなかで挑発を繰り返す悪循環から抜け出すことは、北朝鮮にとっても不可欠です。
ケリー氏の歴訪で注目されたのが、北朝鮮と深い関係をもつ中国の対応です。中国は北朝鮮への物資の出入りなどで、安保理による制裁を十分に履行していないと指摘されてきました。北朝鮮との対話再開に向けて、実効ある制裁が求められています。今回、中国は「朝鮮半島の非核化の推進を堅持し、対話を通じて問題を平和的な方法で解決する」との立場を押し出しました。ケリー氏も中国の姿勢を評価し、北朝鮮問題で米中協議を進めるとしています。
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領も北朝鮮への対話呼びかけを強めています。ケリー氏も「非核化についての信頼できる交渉には扉を開いている」と述べ、対話の姿勢を示しています。米中韓がこぞって対話を強調するなかで、日本もその流れを強める責任を負っています。
米日韓中ロと北朝鮮による6カ国協議の必要や妥当性が再確認されたことはきわめて重要です。北朝鮮は2009年以降、朝鮮半島の非核化をめざす6カ国協議には参加しないと主張し、同協議は開かれていません。しかし、北朝鮮が国際社会に復帰しようとするなら、6カ国協議に参加し誠実に交渉する以外に道はありません。
6カ国協議再開を
6カ国協議は北朝鮮の非核化だけでなく、北東アジアの平和と安定を保障する枠組みに発展することが想定されています。それは日本をはじめとする周辺諸国はもとより、北朝鮮の利益にもなることです。6カ国協議が開始されて今年で10年になります。その必要性が高まる今、新たな段階での始まりとすることが重要です。
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