主張
値上げラッシュ
庶民の暮らし直撃許せない
上がり続ける電気・ガス料金やガソリン価格に加え、4月以降、小麦や食用油など食料品の値上げが相次ぎ、暮らしを直撃しています。「アベノミクス」と称する安倍晋三政権の経済政策による円安の進行で、輸入原材料が高騰したことなどによるものです。国民の所得が増えないまま、生活関連の物価だけが上昇する最悪の事態になりかねません。「アベノミクス」の危険が暮らしに迫っています。
生活必需品が上昇
今回の値上げラッシュは生活必需品が中心です。電気・ガス料金は燃料費の上昇などで全社で3月に続いて4月も値上げします。関西電力と九州電力は5月からさらに上げます。小麦は政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格を平均で9・7%引き上げます。昨年10月に続く2期連続の値上げです。大手の日清製粉はこれを受けて6月から業務用小麦粉を値上げするとしています。食用油も原材料の大豆価格などの上昇を理由に10~15%アップします。トイレットペーパーなど日用品の値上げも予定されています。
これらの値上げは、光熱費や原材料の値上げでさまざまな製品やサービスにまで波及します。日銀の「生活意識アンケート調査」(3月調査)によると、半数近くの人が1年前に比べて物価が上がっていると回答し、平均で2・6%の上昇としました。そのうち8割の人が物価上昇について「どちらかといえば、困ったことだ」と答えています。国民の多くはすでに物価上昇に苦しめられています。
所得が増えないなかでの値上げの連鎖は、国民の家計をますます圧迫し、生活防衛で消費を減らさざるを得なくなります。そうなれば景気をさらに冷え込ませる可能性があります。
「アベノミクス」のもとで円安がすすみ株価が上昇して、一部の輸出大企業などでは業績が上向いているものの、国民の家計を見れば、改善していません。なかにはボーナスなどを増額したところはありますが、本格的に賃金を引き上げるベースアップに踏み切ったところはごく一部です。厚生労働省の毎月勤労統計によると、2月の現金給与総額は前年同月比で0・7%のマイナスでした。生活必需品の値上げは国民の暮らしにとって重大な打撃です。
もともと「デフレ」といわれるもとでも値下がりが続いていたのは、おもにパソコンや薄型テレビなどデジタル家電です。それらが物価を大きく引き下げる要因になっていました。物価上昇は生活必需品から始まっています。「2%」の物価上昇を目標にした安倍政権の経済政策は、一部の資産家などを喜ばす一方、庶民の暮らしをますます痛めつけ、貧困と格差を広げることになるのは明らかです。
家計を応援する政策こそ
安倍政権がこうした生活必需品の値上がりや所得の落ち込みなどは放置したままで、来年4月からの消費税増税や社会保障の大改悪など国民に一層の負担増を押し付けていることは許せません。
賃金や年金が上がらないまま「物価上昇」が国民に押し付けられ、それに消費税大増税が加われば、国民の暮らしと日本経済はどん底です。政府は国民いじめの政策をやめ、最低賃金の引き上げなど国民の家計を応援する政策を急ぐべきです。