いまこそ被災者本位の復興へ

――深刻な現状を打開し、明日への希望を開くために

2013年3月11日 日本共産党幹部会委員長 志位 和夫

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 東日本大震災と原発事故から2年が経過しました。あらためて犠牲になられた方々と、そのご家族、関係者に深い哀悼の気持ちを表明するとともに、すべての被災者のみなさんに心からのお見舞いを申し上げます。

 震災から2年の月日がたちましたが、復興は遅々としてすすまず、被災者の生活は厳しさを増しています。とりわけ、生活の基盤となる住宅再建の遅れは深刻で、多くの被災者が何年たったら落ちついた住まいに入居できるのかの見通しもたっていません。事業の再開も、公共施設の再建も大きく立ち遅れています。被災者の生活と生業(なりわい)の再建、被災地の復興を大きく立ち遅らせている政治の責任は重大です。

 日本共産党は、復興を遅らせ、妨げている政治の抜本的な転換を求め、すべての被災者の生活と生業を再建し、地域社会全体を復興させるために全力をあげます。被災者と被災地の切実な要求をかかげ、そのひとつひとつを実現するために、被災者のみなさんと力を合わせます。被災地の復興を願う、すべての国民のみなさんに、全国の草の根からの支援とともに、被災地の切実な要求を実現するための共同をよびかけます。また、救援ボランティアなど、日本共産党としての被災者の救援と支援の取り組みをさらに強める決意です。

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 被災地の懸命の努力にもかかわらず、深刻な事態が続いているのは、政府の取り組みの規模が小さく、スピードが遅いだけではありません。

 被災者の医療や介護の負担軽減の冷酷な打ち切り、被災地の要望を無視し実態にかみ合わない復興交付金、生活再建に重大な障害を持ち込む消費税増税、被災地の主要産業に大打撃を与えるTPP(環太平洋連携協定)交渉への参加表明への動きなど、政治が復興に障害を持ち込み、妨害するような事態が次々に起きています。

 これらは直接の被害だけでなく、被災者から希望と意欲を奪い、「国は被災者を見捨てるのか」「被災地のことを分かろうとしない」という強い不信感を広げています。被災地の首長からは「被災者の気持ちにたった政治になっていれば、もう少し前にすすんだのではないか」という厳しい批判の声もあがっています。

 いまこそ政治の姿勢を転換し、生活と生業の再建、被災地の復興への取り組みを抜本的に強化しなければなりません。日本共産党は、次の四つの点を政治の基本にすえ、被災者の立場にたった復興に全力をあげることを求めてたたかいます。

 (1)生活と生業の再建を最後まで支援し、被災者とともに歩むことを、政府の支援策の大原則にすえる。

 先の見通しが持てないのに、政府のあらゆる支援策に「期限」がついていることが、被災者の不安をつのらせています。支援が必要な人・地域がある限り、支援を拡充することはあっても、絶対に打ち切ることはせず、国は、被災者・被災地への支援を最後まで続けることを約束し、それを支援策の大原則にすえることが必要です。

 医療・介護の減免措置をただちに復活することを求めます。仮設住宅や見なし仮設の期限が、来年度から1年ごとの延長とされることが、被災者の不安を広げており、実態にそくして見直すことを求めます。

 (2)「個人財産の形成になってはならない」という姿勢を根本からあらため、生活と生業の復興に必要な公的支援を行う。

 「個人財産の形成になる」として、住宅、商店、工場、医療機関などの復旧を支援しないことを「原則」としていることが、復興の重大な障害となっています。これを根本からあらためることを求めます。

 住宅再建支援金を300万円から500万円(全壊)に引き上げ、対象を拡大します。中小企業再建を支援する「グループ補助金」を大幅に拡充するとともに、商店や個人事業者への直接支援を行います。

 (3)これまでの「ルール」を現場に押しつけるのではなく、現場の実態に「ルール」をあわせる。

 津波をかぶった海岸沿いの道路の整備は復興交付金の補助対象とするが、高台移転を考えて山側に道路の整備をしようとしても補助対象としないという事態が起こっています。「元の場所に、同じものをつくらなければ支援しない」という杓子(しゃくし)定規な「復旧」の押しつけをあらため、現場の実態、現場の要求にそくした支援とすべきです。

 (4)公共事業は、真に被災地の復興のために役立つものを最優先させ、地元企業主役ですすめる。

 被災地では、人手と事業者の不足や資材の高騰が大きな問題となり、復旧・復興のための事業が「入札不調」で滞る事態も少なくありません。安倍政権が「防災」を看板にすすめている全国の巨大公共事業が、被災地での公共事業だけでなく民間施設の再建を含めた復興事業の妨げになるという危惧が広がっています。

 土地のかさ上げと整備、復興公営住宅、道路、上下水道などのライフライン、学校や病院、福祉施設、各種の公共施設など、被災者の生活と生業の再建の基盤を再生する事業を最優先にすべきです。「創造的復興」などの名目で大手ゼネコンだけが利益を得るやり方でなく、地元企業主役で、真に被災地のために役立つ復興事業にすることが必要です。また、発注する自治体の専門職員の体制を確保することも必要です。

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 福島原発事故の被害は、2年が経過しても拡大し、特別の困難と複雑さをもっています。いまも県内外に避難している人は15万人を超え、家族がバラバラの生活を余儀なくされたり、避難先で命を落とす方も少なくありません。除染の遅れ、賠償の「線引き」や切り捨てが被害者を苦しめています。

 原発災害から福島県民をはじめ国民の命と健康、生活と雇用を守り、ふるさとを再生させるために、徹底した除染と完全賠償をはじめ、原発事故によるあらゆる被害の解決に本腰を入れた取り組みを強く求めます。

 政府が一昨年の12月に行った「収束宣言」が、その大きな障害になっています。3月9日に、日本共産党の調査団が福島第1原発の事故現場を調査しましたが、その実態は「収束」どころか、壊れた原子炉の冷却のために大量に発生し続ける高濃度汚染水をはじめ、放射能汚染とのたたかいが長期にわたって続く危機的な状況――なお事故の真っただ中という状況です。日本共産党は、「収束宣言」の撤回を強く要求するとともに、原発の即時ゼロめざしていっそう奮闘することを表明します。

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 東日本大震災からの復興、被災者の生活と生業の再建に、国が責任を果たすのかどうかは、想定される巨大地震をはじめ「地震列島」「災害列島」といわれる日本で、国民が安心して暮らしていける社会にしていけるかどうかを考えても、きわめて重要な課題となっています。

 日本共産党は、被災者の立場にたった復興を実現し、ほんとうに災害に強い日本社会にするために、被災者、国民のみなさんとともに全力をあげます。