3D小説「bell」本編

■久瀬太一/12月25日/19時20分

2014/12/25 19:20 投稿

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久瀬視点
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「こんなのあるならさっさと出してくださいよ」
 とオレは顔をしかめる。
「なんか自分で考えるのに夢中になってたわ」
 と宮野さんは答える。
 オレはノートをのぞき込んで、尋ねる。
「わざわざタクシーで20分もかかるバーに行ったんですか?」
「ええ。なのにこいつはいなかったわ」
「てめぇさっきまで敬語じゃなかったか?」
「今は久瀬くんと話してましたよニールさん」
「だとしても目の前でこいつは違うだろうが」
 このふたり妙に相性がいいな、と感じたがとりあえず今はどうでもいいことだ。
「じゃあニールがそのバーにいたっていう証拠はないわけですね」
「そうなるわね」
 ち、とニールは舌打ちする。
「オレがバーに行ったのは確かだ」
「どうしてわざわざタクシーに乗って? バーなんていくらでもあるだろ」
「前に何度か行って、悪くなかったんだよ。こっちにくるのは久しぶりだから、顔を出したくなったんだ」
「でもほとんど滞在してないな。21時15分にレストランを出て、まっすぐバーに向かったとしても到着は21時35分。でも22時に宮野さんがそこに着いたときにはもういなかった」
「流れている音楽が趣味じゃなかった。だから一杯だけ飲んですぐに出た」
 まあ、話自体に矛盾はない。
 ニールは22時30分にはこの洋館に戻っているようだ。
「そうだ、ニールさん。そのバーには日替わりメニューがあるんだけど」
「ああ? それがどうした?」
「実際、店に行ってみないとわからないらしいのよね。答えられる?」
「やっぱお前、言葉遣いぞんざいになってるだろ」
「そんな細かいことはどうでもいいの。本当に重要な情報に装飾なんていらないの。ほら、せーの」
「せーのってなんだよ」
 ニールはだるそうにうつむいて、ぼそりと答える。
「枝豆のペペロンチーノ炒め」
 なんだそれ。
 だいたい想像できるけど、食べたことはない。
「合ってますか、宮野さん」
「残念ながら正解ね」
「なんで残念なんだよ」 
 とはいえ、なんにせよ。
「おやおや、でしたらニールだけでなく、ベートーヴェンにも犯行は不可能だったということになりますねぇ」
 妙に芝居がかった声で、ファーブルが言った。
 確かにレストランを21時15分に出て、バーを回って帰ってくると、最速でも22時ジャストだ。22時にはすでに、山本がセンセイと会っている。
 山本が部屋に入る前に、何者かがあのきぐるみに潜んでいたのだとすれば、昨日この洋館にいた全員にアリバイがあることになる。
 ――答えは、この中に犯人はいない?
 本当にそれでいいのだろうか?
読者の反応

鍵虫(ソル北埼玉) @kagimusi_bell
枝豆のペペロンチーノ炒めに笑った


chronos @chronos9603
昨日初めて会ったとは思えないくらい息の合ったコントを見せる宮野ニール組


アジュ麻呂@太陽戦士ソル @ajumaro7956
ちょくちょく入ってくるファーブルwww


amor000@bell情報ディーラー @nagaeryuuiti
宮野さん、「経費で落とせるかな?」って事は、レシート取ってるんじゃない?


少年(臨時代理! リンちゃん) @3d_bell
このメールを送りました!
カカロー@ソル岐阜班 @kakaro_sol 
@3d_bell 久瀬くんに
「紅茶を用意した人が誰か分かる?周りの人に聞くなりして調べてほしい。カップに指紋もあるかも。」
と送ってください!





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お気に召さない場合は「転載元のアカウント」から「3D小説『bell』運営アカウント(  @superoresama )」にコメントをくださいましたら幸いです。早急に対処いたします。
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