運動には多少なりとも自信があった。
でもあの眼鏡の方が速い。
足音でそれがわかった。肩をつかまれ、バランスを崩す。
「ふざけるなよ」
と眼鏡が言った。
「なんなんだよ、あんたは。どうしてセンセイに呼ばれたんだ? いったい、どんな手を使った? いったいどれだけの人がセンセイの帰還を待ちわびていたと思っているんだ。どうしてお前なんだよ!」
なにを言っているんだ、こいつは。
不条理だ。私がなにをしたっていうんだ。
センセイなんて知らない。この眼鏡がどれだけセンセイに会いたがっているのかも知らない。そんなの私に関係ない。
強くつかまれた肩が痛くて、いらっとした。
よくない傾向だとわかっていた。それはつまずいて転ぶ前の浮遊感に似ていた。一瞬先でトラブルが起こると知っていた。
「そっちの事情なんて、私には関係ない」
私を追い詰めないで欲しかった。自分でもわけがわからないことをするんだ。
ほら――
「センセイに呼ばれたのは私でしょ。何に嫉妬してるんだか知らないけど、クリスマス懇親会に行くのは私よ」
目の前への苛立ちだけで、つい叫び返してしまう。
眼鏡の表情が明らかに変わった。彼が右手を固く握るのがわかった。
殴られるのだろう。身体が硬直する。でも別にいい。
妙に冷静に、私は胸の中でため息をつく。
――ほら、私はすぐに意地を張るんだから。
私を追い詰めないで欲しい。
眼鏡が拳を振り上げて、その直後。
彼の真後ろに、赤いスポーツカーが止まった。
セトミ @setomi_tb
赤い!スポーツカーきたあああああ
煙@制作者派ソル @smoke_pop
他人を傷つけてもいいからセンセイに会いたい、という姿勢は強硬派にせよ穏健派にせよ危険なタイプの聖夜協会員っぽいなー それこそホールとかファーブルみたいな
セトミ @setomi_tb
でもこれ美優ちゃん懇親会に行くって宣言しちゃったねえ
※Twitter上の、文章中に「3D小説」を含むツイートを転載させていただいております。
お気に召さない場合は「転載元のアカウント」から「3D小説『bell』運営アカウント( @superoresama )」にコメントをくださいましたら幸いです。早急に対処いたします。
なお、ツイート文からは、読みやすさを考慮してハッシュタグ「#3D小説」と「ツイートしてからどれくらいの時間がたったか」の表記を削除させていただいております。
コメント
コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。