久瀬視点
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 走っていた。
 ヒーローバッヂを握りしめて、まっすぐに。
 これはバトンのようなものなのだ、と思った。
 どこか遠くから届いた。意外とすぐ傍から届いた。誰でもない誰かの。誰でもある誰かの。大勢の。
 ――思い出していた。
 12年前の冬、オレは、同じように走っていた。
 パーティに遅刻して。前の年にみさきと、「絶対にまた会おう」と約束していて。その約束を破りたくはなくて。
 ――あのときはひとりだった。
 親父はあとから追いかけてくることになっていた。
 ――オレはひとりで走って、でも間に合わなかった。
 でも、今は違う。
 いくつもの力がオレの背中を押している。
 ――あの日、オレはヒーローバッヂを手に入れられなかった。
 でも、今は違う。それを持っている。
 大勢の力に護られていて、大勢のひとたちが応援してくれる。
 ――だから、間に合うんだよ。
 必ず。不安でも。
 全力で走れば、必ず間に合うんだ。
 ――みんなが動けば、当たり前に奇跡だって起きるらしいぜ。
 とあのきぐるみは言った。
 今、オレはたぶん、みんなで走っている。

       ※

 そして。
 公園の入り口に向かって歩く、みさきの後ろ姿をみつけた。
「待て、みさき!」
 オレは叫ぶ。そして――
 彼女に向かって、跳んだ。
読者の反応

みなみ@院生になりました @minamin0730 2014-08-24 19:51:05
@sol_3d 激アツ展開すぎる!!!跳んだ!!!!  


ヴァニシング☆コウリョウ @kouryou0320 2014-08-24 19:51:06
ダイブしたー!?  


まにょ@ソル大阪 @mannnory 2014-08-24 19:51:51
跳んだ がシュールwwwwwwwww  


yu@T@Sol @suono_yu 2014-08-24 19:52:04
今、オレはたぶん、みんなで走っている。  その通りだ久瀬!! 


NO.@ソル(愚かな子) @constract_96 2014-08-24 19:53:34
アイキャンフラーーーーーーイ!!!!


sainasu @oumiya0 2014-08-24 19:55:28
生きてください 彼女を助けて  





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