3D小説「bell」本編

■久瀬太一/8月15日/24時

2014/08/16 00:00 投稿

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  • bell本文08月15日
久瀬視点
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 そしてオレは、夢の中の停留所にいた。
 静かな夜だ。虫の泣き声もきこえない。
 空を見上げると半月が浮かんでいる。そういえば、いつもこのバス停から見上げると半月がみえるように思う。
 当然のようにバスがやってきて、そのライトがオレを射す。
 オレは当然、そのバスに乗り込む。

       ※

「よう」
 ときぐるみが言った。
 オレはそいつの隣に腰を下ろす。
 きぐるみは首を傾げてみせる。
「元気そうじゃないか」
「どうかな。毎日、ひやひやしてるよ」
「この時点で、お前がぼろぼろになっているかもしれなかった」
「八千代の代わりに殴られて、か?」
 その可能性は、オレも考えていた。
 きぐるみはなにも答えない。当然、同じ表情で笑っているだけだ。
「スマートフォンも、戻ってきたよ」
「そりゃよかった」
「まったくだ」
 ゆっくりと、ゆっくりと、前進している。
 聖夜協会たちの追手を撒き、オレはもうすぐ愛媛へ行く。
 ヒーローバッヂに関しては、上手く思い出せなかった。それについて考えようとするたび、身体に激痛が走る。一体、どういうことだろう?
 ヒーローバッヂはタイムカプセルの中に入っているらしい。
 でも愛媛の山に、本当にそんなものが埋まっているのだろうか?
 あのころ仲のよかった3人組と、ある小さな山にそれを埋める約束をしていた。でもタイムカプセルを埋めた記憶はない。オレは以前から、記憶力が悪い。
 ――山は、覚えてる。
 友人の父親が、山に持っている土地。それほど広くもないはずだが、とはいえ手当たり次第に穴を掘って、タイムカプセルがみつかるほど狭くもない。
 ――オレは思い出さないといけないんだ。
 ヒーローバッヂのことを。その行方を。
 なのにきぐるみは言った。
「お前にあのバッヂはみつけられねぇよ」
「そんなのやってみなきゃわからないだろ」
「ま、気の済むようにすればいいさ」
 オレはため息をつく。
「お前、いったいなにを知っているんだよ?」
 きぐるみは相変わらず、不気味な笑顔を浮かべている。
「そのうちわかるさ。たぶんな」
 こいつは何者なんだ?
 ふと、思い当ったことを、オレは尋ねる。
「もしかして、お前が『制作者』か?」
 だがきぐるみは首を振った。
「違うよ。そうじゃない」
 そしてバスが、トンネルを抜ける。読者の反応

よもぎ @hana87kko 2014-08-16 00:02:19
制作者=少年ロケット
違ったか!


Lalf @Lalf_GroupTRON 2014-08-16 00:06:50
ニールはいないか  


たよたよた @ka_ramel_k 2014-08-16 00:10:26
バスきたー(゚∀゚)  





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