3D小説「bell」本編

■久瀬太一/7月25日/22時30分

2014/07/25 22:30 投稿

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  • bell本文07月25日
久瀬視点
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 警察にスーツの身柄を引き渡したところまでは覚えている。
 その後は記憶がなかった。オレは上手く、事情を説明できただろうか?
 目を開くと、オレは再びあのバスターミナルにいた。人の気配はない。なんの音もしない。目の前にバスが停まっている。そのライトがオレを照らしている。行き先表示は、『8月24日』。ずいぶん先だ。
 不思議と、驚きはなかった。なんとなくまたここに来るような気がしていた。
 オレはベンチから立ち上がる。

 バスに乗り込むと、乗客がひとり増えていた。
 昨日、原稿用紙を膝に載せて眠っていた女性の隣に、別の女性が座っている。2人はよく似ていた。顔立ちも、服装も。でも髪の長さだけが違う。原稿用紙の方はロングで、その隣はショートカットだ。
 ――双子だったのか。
 双子で、みさきを思い出した。彼女にも双子の姉がいる。
 ショートの方は、手のひらほどのサイズのビデオカメラを持っている。その液晶で、なにか映像を再生しているようだった。音声は聞こえない。
「よう。さっさとこっちにこいよ」
 と、また最後尾から声が聞こえた。
 そこにいるのは、やはりぼろぼろのきぐるみだ。
 少年ロケット。
 その不敵な笑顔がむかつく。
 頭を掻いて、オレはきぐるみに向かって歩く。
「ずいぶん疲れている様子じゃないか」
 と、きぐるみが言った。
 隣に腰を下ろしながら応える。
「ぼろぼろで、へとへとだよ。さっさと家に帰りたい」
 シャワーを浴びて眠りたかった。そういえば昨日は汗を流していない。思い出すと不快感が膨れ上がった。
「でも、ともかくお前は、7月25日を乗り切った」
「ああ。どうにかな」
「ソルは頼りになるだろう?」
「それは否定しないよ」
 オレは視線を窓の外にむける。そこには無人で無音の不気味なターミナルがあるだけだ。
「で、またオレに不吉な未来をみせるのか?」
「わかってきたじゃねぇか」
「とはいえ、今回は少し余裕がありそうだ」
「余裕? どうしてだ?」
「行き先が8月24日だった」
 まだひと月ほどある。すぐ明日ってことはない。少なくとも今夜、シャワーを浴びるくらいの時間はありそうだ。
 きぐるみは、けけけ、と作り物めいた笑い声を上げる。
「そう油断はできねぇぜ? 終着点が、8月24日ってだけだ」
 ドアが閉まり、バスが走り出す。
「お前、何が目的なんだよ?」
 と尋ねてみた。
「そのうちわかるさ」
 ときぐるみは答えた。
 バスはトンネルの中に入る。
読者の反応

和雄@7/31大富豪8/01カジロワ? @kazuo_niconico 
次のフラグ日程は8/24!!!


桃燈 @telnarn 
いつまでやる気だ!これ!


交響楽 @koukyoraku 
まじでひと月やる気か!(歓喜恐怖驚愕その他


灰色(しろくろ)パンダ@3D小説参加中 @Miraclekurami 
予告状のなかにいる怪獣、茶色い何か、ケーキが未回収かね 


ヴァニシングちえみは試験中 @_surrealisme_ 
スイマにヨフカシにメリーって全部夢関連なのか メリーさんの羊的な 





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