3D小説「bell」本編

■久瀬太一/7月25日/11時45分

2014/07/25 11:45 投稿

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  • bell本文07月25日
久瀬視点
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 レシートの書店には、これまでにも何度か行ったことがあった。
 大きな電気屋の7階に入っている書店で、たいていの本はみつかる。でも今日は呑気に、書架をみて回るわけにはいかなかった。
 オレはひとりの店員に声をかける。
「すみません、トランクを拾ったんですが」
 店員は顔をあげる。眼鏡をかけた女性だった。
「あ、はい。忘れ物ですね?」
「いえ、あの。そのトランクに、これが入っていて」
 オレは、書籍検索の結果をその店員にみせる。
「きっとトランクの持ち主が、こちらで本を買ったと思うんです」
 店員は眉間に皴を寄せる。
「ちょっとわからないですね。そのトランク、お預かりしましょうか?」
「いえ」
 そりゃそうだ。こういう大きな書店なら、購入者はデータで管理している可能性が高い。でもそのデータの詳細を店員が把握しているとも思えないし、もし知っていても簡単には教えてもらえないだろう。
 ――食い下がるか?
 女の子の命を左右すると言って?
 でもそんなこと、オレには証明できない。証明できるならまず警察に駆け込んでいる。
 悩んでいると、ポケットの中のスマートフォンが震えた。
「すみません。別を当たってみます」
 オレはそう告げて、店員から離れた。

       ※

 メールが届いていた。
 着信があったのは、あのきぐるみから受け取ったスマートフォンだった。
 送信者はソル――ではない。
 タイトル欄に、「制作者」と書かれていた。
 ――制作者?
 一体、なんの制作者だ?
 そういえばソルから届いていたメールには、このスマートフォンのアドレスは「主人公」という名前で登録されていると書かれていた。
 主人公と、制作者。
 詳細はわからないが、なにかしらリンクを感じる言葉だ。
  オレはそのメールを開く。

       ※

 君にはみつけられないものがある。
 君には解けない謎がある。
 一方でソルにさえ、俯瞰できないものもある。
 君とソルが力を合わせた時、はじめて物語は書き換わる。

 ソルは遠い世界にいる。
 だが間違いなく、君の世界を照らす。

       ※

 オレは額を押さえる。
 だから、ソルって誰なんだよ。
読者の反応

桃燈 @telnarn
あーこれつまり誰か秋葉行ってこいってことかな?



コウリョウ @kouryou0320
久瀬くんが俯瞰できて我々にできないもの…? なんだろう



コウリョウ @kouryou0320
久瀬君の過去とか小説の世界の出来事とか?



クー @coo01
ソルが→照らすというフレーズから、ソルは太陽の意で確定なのかな……と思いつつ、これが何かの役に立つかどうかはわからない。



capo @caporello
久瀬くんの世界とこちらの世界は違うってこと?



クー @coo01
@caporello 時間の流れ方が同じ並行世界じゃないでしょうか。メタ的に考えると、少なくとも謎解きに使う部分や作品のギミックに使われる部分は共通しているはずです。






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