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石川 温の「スマホ業界新聞」

2018/08/11(vol.287)         

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《目次》
1.スマホの次はスマートキッチン?
━━ギークがテクノロジーで食の世界を変えていく
2.楽天が6000億円よりも安価にMNOネットワークを構築
━━組織改編により、MNOとMVNOを同じ会社で運営へ
3.ソフトバンク孫社長が何度も語る「AI群戦略」
━━グーグルにあって、ソフトバンクに足りない「AIの民主化」視点
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記

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1.スマホの次はスマートキッチン?
━━ギークがテクノロジーで食の世界を変えていく
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 8月8・9日、「食&料理×テクノロジー」をテーマにした、キッチンの未来を描くカンファレンス「スマートキッチン・サミット・ジャパン2018」が都内で開催された。
 シリコンバレーでは、2010年ごろから、ギークが料理の世界にテクノロジーを持ち込むという動きが活発化しているという。しかし、日本では、あまりそうした動きがないだけに、こうしたイベントを開催することで、コミュニティを作り、日本のおけるスマートキッチンの機運を高める狙いがあるという。
 「スマートキッチン・サミット」の発案者で、世界でイベントを手がけるMichael Wolf氏によれば「キッチンの市場は7兆ドルの市場規模が期待できる」と語る。現在、Netflixなど動画配信サービスなどで変わりつるあるリビング市場は300億ドル、ホームセキュリティ市場は50億ドルという規模感と比較すると、キッチンにおける市場規模がいかに大きいかがよく分かる。
 確かに、振り返ってみれば、我々は、1日3回、「何を食べよう」という課題に対して、答えを出し続けている。それが365日、何十年も繰り返し意思決定を迫られているのだ。
 その割には、キッチンにはあまりイノベーションが起きていないのが現状だ。
 シリコンバレー界隈で、この数年、流行っていたスマート調理家電が「Sous Vide(真空調理)」のデバイスだ。真空調理とは食材と調味料を専用袋に入れ、真空パックにして、95度以下で湯煎する調理法だ。
 この低温に保つためのデバイスが2010年以前は医療用恒温槽しかなく、5000ドル以上していたのが、2012年以降、クラウドファンディングなどを活用することで、低価格化し、今年には99ドルの「Anova Nano」が登場するまでになったという。
 こうしたデバイスを活用し、レシピを完璧になぞることで、美味しい料理が誰でもできてしまう。この「デバイスを操り、レシピを完璧になぞる」という行為が、ギークの心を高揚させてくれるのだと思う。 
 実際、自分も「ヘルシオ ホットクック」を購入し、毎日、料理をしているが、とにかく「レシピ通りに食材を入れれば、美味しい料理が簡単にできる」という点に感動している。
 スマートキッチン・サミット・ジャパンを取材して感じたのが、料理というのは科学であり、味は因数分解されており、食材の組み合わせ、調理方法などレシピを完璧に再現できれば、本当に美味しい料理を誰でも作れる。それを助けるのがスマートキッチン家電というわけだ。
 おそらく、少しでも家事で楽をしたい主婦が簡単に使いこなせるスマートキッチン家電を開発できるようになると、大化けすることだろう。
 「生活に無くてはならない必需品」という視点でみれば、スマホの次はスマートキッチン家電が盛り上がるかもしれない。

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2.楽天が6000億円よりも安価にMNOネットワークを構築
━━組織改編により、MNOとMVNOを同じ会社で運営へ
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 8月6日、楽天は2018年度第2四半期決算説明会を開催。そのなかで、2019年秋に開始する携帯電話事業への言及があった。
 同社は2018年から10年間で5263億円を基地局構築に充て、残りは1.7GHz帯を使う既存事業者の移行措置のために使う計画だった。しかし、今回の説明会で、6000億円を下回る金額で設備投資が可能になるとのことだった。
 業界関係者の間では「6000億円でも少ないのに、もっと金額が減ってしまうのか」という、驚きの声が上がっていた。
 8月10日付のケータイWatch「見えてきた楽天の基地局ネットワーク構成」で指摘があったが、おそらく楽天は、CORE・RANのオール仮想化によるネットワークを構築するものと見られている。楽天にはレガシーの設備がないため、イチから仮想化によるネットワークが構築できる。これにより、汎用サーバーを使い、安価なイーサネットスイッチを利用できるため、既存キャリアとは比較にならないほど、低コストでネットワークが構築できるというわけだ。
 ただ、業界関係者の間で不安視されているのは、コアネットワークというよりも、基地局側の問題だ。