りゃん のコメント

この件は、刑事手続きが現行法上尽くされているという点が大きいんですよ。いつまでも「疑惑」と言ってりゃすむモリカケ問題とはそこが決定的にちがう。検察が、公判で有罪にできるほどの嫌疑がないと判断し、検察審査会(お上ではありません、念のため)もそれに追随している。そんなものを、裁判所が独自に調べて有罪とできるはずがない。望月記者は裁判の構造も理解してないのでしょう。

そして、本当に何があったのかは別として、刑事手続きを尽くしたうえで犯罪の嫌疑がなかったという人を犯人扱いしないのは、おおげさにいえば、ベッカリーアとかフォイエルバッハ以来の人類の努力の末に勝ち取られた人権です。望月記者はその重要性もよく理解していないのでしょう。男性は権力に近く、半ば公人だという反論はあるでしょうが、疑惑が真実かどうかハッキリしない段階での報道ならともかく、疑惑が(刑事手続き上)ないことになった以上は、人権がより重視されて当然です。報道が「不起訴なら書かない」のは、この常識があるからなのが第一ですね。つまり、人権を重視するのは、報道機関として当然ですし、男性が名誉棄損で訴えてきたらどうするという問題もありますから。

しかしそれでも、人権に配慮したうえで、報道することはできます。たとえば、逮捕がなぜ中止になったのかは今でも解明されているとはいえない。ここはわたしも知りたい。報道への需要はあるんですよ。

しかし報道されないのは、私の見るところでは、望月記者のいうような「お上至上主義」というよりは、単純に学力不足と取材力不足だとおもいます。「人権に配慮したうえで報道する」ためには学力も取材力も必要で、難しいので、できないんだとおもいます。それは望月記者の今回の議論読んでても、なんとなく感じることです。これが「不起訴なら書かない」第二の理由だとわたしはおもいます。

官房長官にくだらない質問するあいだに、少し勉強でもしていれば、この問題で、もう少し追及できたろうになあと思う次第です。権力追及という名目で、言いっぱなしの報道(総理大臣の「疑惑」追及ならそれが許されますから)をしてきたツケがまわってきたという気がします。

No.14 67ヶ月前

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