先生は優しいなあ。礼儀を知らない子供にもちゃんと教えて差し上げるのだから。

昔、呉智英氏の著書でしたか、知的障碍者の息子を吉原のソープに連れていってあげる母親の話がありましたね。発散させてあげないと暴れたりする人もいるのです。合法化は、ただ現実を認めよ、というだけの話です。救いようのない現実が目の前にあったとして、それでも、少しでもましに生きて行きたいと願うのが人間です。そういう願いを土足で踏みにじって善人面する人間こそが、一番の害悪であるのは言うまでもありませんね。

自分のものさしだけで人を図るな、とよく言いますが、酷いのになるとそのものさしで他人をバシバシと叩いて矯正させてやる、なんて奴がいます。本人はまるきし善意のつもりなので始末に負えない。知性というのは、物事をよく知って断じたりする力ではありません。不確かな現実に畏れを抱きつつも、ありのままにそれを捉えようとする勇気のことです。その勇気がない人間が、世の闇に触れると、怖くて堪らなくなって弾劾と拒絶の声を上げる。己の臆病を正当化するために手前勝手な正義を振りかざすのです。