今の日本では高齢化で減った分の正規労働を非正規に代替していますから、見かけの求人倍率が上がっても、雇用の質は劣化するのです。雇用の質が劣化すると、供給される財やサービスの質も下落するのが道理です。人間が働いているのだから当たり前です。しかし、それでは消費者が納得しませんから、質を無理やり保つために正規労働者は過重・無賃労働を強いられ、非正規労働者は割に合わない正規並みの仕事を強いられる。帳尻は現場がそうして合わせるしかない。元請→下請け→孫請けなどの企業間の下請け構造も同じでしょう。 こうして勤勉な国民性のお蔭で質は大して下がらず、人件費だけが減るので簿記上はプラスとしてカウントされて株価は上がる(費用が減って利益が増えるから)これが、「企業決算はいいのに生活が楽にならない」の正体でしょう。そして、浮いた分の利益は、「費用を削減した功績」として経営者や株主の元へ、というわけです。人件費削減の功績自体を売り物にするのが、派遣事業者です。そういう人がブレーンの経済政策にトリクルダウンなんて最初からあるはずがないのです。 しかし、現場もいずれ限界が来る。社員は鬱や労災で辞め、バイトすら集まらなくなる。そうしてまともな人材が払底し、職場の劣化が極に達したところで、事件事故が多発し、取り返しのつかないことになる。けれど、それも一過性の事象として処理されてしまう。それが国民の間にニヒリズムを蔓延させているのだと思います。
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小林よしのりチャンネル
(ID:19522841)
今の日本では高齢化で減った分の正規労働を非正規に代替していますから、見かけの求人倍率が上がっても、雇用の質は劣化するのです。雇用の質が劣化すると、供給される財やサービスの質も下落するのが道理です。人間が働いているのだから当たり前です。しかし、それでは消費者が納得しませんから、質を無理やり保つために正規労働者は過重・無賃労働を強いられ、非正規労働者は割に合わない正規並みの仕事を強いられる。帳尻は現場がそうして合わせるしかない。元請→下請け→孫請けなどの企業間の下請け構造も同じでしょう。
こうして勤勉な国民性のお蔭で質は大して下がらず、人件費だけが減るので簿記上はプラスとしてカウントされて株価は上がる(費用が減って利益が増えるから)これが、「企業決算はいいのに生活が楽にならない」の正体でしょう。そして、浮いた分の利益は、「費用を削減した功績」として経営者や株主の元へ、というわけです。人件費削減の功績自体を売り物にするのが、派遣事業者です。そういう人がブレーンの経済政策にトリクルダウンなんて最初からあるはずがないのです。
しかし、現場もいずれ限界が来る。社員は鬱や労災で辞め、バイトすら集まらなくなる。そうしてまともな人材が払底し、職場の劣化が極に達したところで、事件事故が多発し、取り返しのつかないことになる。けれど、それも一過性の事象として処理されてしまう。それが国民の間にニヒリズムを蔓延させているのだと思います。