武藤 のコメント

時浦さんが紹介してくれた門弟さんの「大東亜論は脱亜論への挑戦」は腑に落ちます。
では、福沢諭吉、伊藤博文らと西郷隆盛の違いは何か?
福沢、伊藤らは「これまでの儒教に覆われた幕藩体制は野蛮であり、西洋こそが文明である」で心底から信じていたことです。
これでは西郷が唱えた道義外交も「旧態依然の野蛮なもの」になってしまい、国際法(西洋が作り出したルール)に従うことが日本の国是であるとなります。
当時の国際法は戦争に善悪をつけず、仮にそこに原住民がいたとしても国際法の主体たり得る「国家」によって支配されない限り、無住の地であり、最初に実効ある支配を行った国家の領有が認められる先占の原則が認められていました。
欧米列強が認めない国家は国家でないと宣言したもので現代の視点から見たら野蛮なものでした。
これを西郷が異を唱えたわけです。
アジア諸国に欧米のルールを適用して支配するのは日本が野蛮国であると西郷がキチンと認識していたことは、かなり先見性があったということになります。
大久保亡き後も藩閥政府は西洋に真似た国づくり
制度づくりを行いましたが、アジアの連帯の思想は失われ、支那、朝鮮の憎しみを一身に背負うことになりました。
支那事変が起きた原因は日本が支那の怨みを買うような政策を行っていたことを蒋介石がうまく利用したことです。
西郷が唱えた大義名分論を蒋介石が使ったとも見えます。
蒋介石はあらゆる手段を使い、中国は侵略されている!日本軍はあちらこちらで虐殺をしていると欧米列強に宣伝し、膨大な支援を引き出しました。
最終的にはアメリカをうまく騙し日本は敗戦の悲劇を迎えることになりました。
と、歴史的な考察をしてみると、西郷隆盛のほうが「道義的」であり「合理的」であり、大久保利通のほうがミクロな視点しか国づくりが出来ず、失敗したと見るほうが理にかなっていると思います。

No.71 109ヶ月前

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