monmon のコメント

「大東亜論第二部」買いました。「卑怯者の島」同様、物語の世界に一気に引き込まれ、3時間以上かかって一気読みしてしまいました。この作品を読んで、僕の明治維新観が大きく変わりました。
軽率で後先考えずに行動してしまう越智彦四郎と、決起の機会を必死に見極めようとしている武部小四郎という対照的な二人が、福岡の変でともに決起するまでの過程がとても面白かったです。処刑を前にした越智の清々しい表情や、武部の「行くぞー!!」と咆哮する場面は思い出すたびに、胸と目頭が熱くなります。
読み終えてなお、越智・武部や西郷隆盛・江藤新平・前原一誠らが命を賭けて守りたかった物、後世に残したかった物は何だったのかと考えない訳にはいきません。明治維新のおかげで日本は近代国家になったものの、その過程で失われた物も沢山ある。その「失われた物」を取り戻すために、彼等は政府と戦ったんだと僕は思います。彼等の戦いを「不平士族の乱」で片付けるのは、大東亜戦争を「無謀な誤った戦争」とレッテル張りする愚行と同じではないでしょうか。
あと特別描き下ろしの「妻妾同居の時代」も楽しかったと同時に、近代化・文明とは何かという事も考えさせられました。多くの妾を抱えたせいで、明治天皇に叱責された伊藤博文の言い訳は可笑しかったです。この章は現在話題になっている、NHK朝ドラ「あさが来た」の「妾問題」にも関わってくるのかなとも思いました。
大東亜論第一部が国の為に殉じた男の物語なら、第二部は道義の為に殉じた男達の物語だと思います。第三部は「自由民権運動」が軸になっていますが、今度はどんな男達の物語が描かれるのか、とても楽しみです。

No.61 109ヶ月前

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