ゴー宣のカットの無断使用事件ですが、やはりよしりんがブログでも触れた「例の事件」を思い出します。

　世の中の人は、「漫画なんて元手も大してかからない安いもの」と思うのかも知れません。しかし、ただ１カットのために、構図を何度も考えて、服装や背景の資料を集めて（ゴー宣のように時代考証が絡むなら尚の事と思います）、やっと「下描き」に入れるのだ、といった事は、無断使用するような人には想像も及ばないのでしょう。

　無断利用の問題も当然ですが、特定のイデオロギーのために漫画やイラストを利用しよう、という姿勢自体が好きではありません。私事ですが自分自身、左翼じみた運動のプロパガンダ漫画の制作を依頼されて、断った事があります。送られてきた構想それ自体が、完全に自己満足の世界であり、以前に普通のカットを描いた相手だけに、複雑な気分でした。人間、「運動」にはまってしまうと、こうも独善的になってしまうものか…と、背筋が寒くなりました。