na85 のコメント

    ~na85 presents 新・直撰和み歌集~(前篇)
 雷神宮歌会は、歌人の皆様のおかげで小林よしのりライジング※欄の名物コーナーに成長しました。毎回ライジングの内容や師範方のブログ・生放送、よしりん先生の著作に関するテーマが設定され、多くの短歌が寄せられています。
 前回の「直撰和み歌集」では、ライジング49号から83号までの期間に詠まれた百歌繚乱の中から、不肖na85が各号3・4首ずつ選び、極私的な解釈で一言コメントもつけさせていただきました。
 今回はその第2弾として、83号後半から114号までに読まれた名歌を撰ばせていただきました。選考基準は前回とほぼ同じです。
 なお、「流行語大賞」や「神様グランプリ」がライジングコンテンツをより楽しむための「表現」であるのに対し、歌会や、そこから派生した「和み歌集」は「単なる私的な感情の『表出』じゃないか?」と仰る向きもあるでしょう。
 しかし、毎回ライジングのテーマや各コンテンツに即したお題が設定され、私から公につながる経路ともなりうる歌も多く詠まれております。そうであるなら、コンテンツをより楽しむための表現の一つではないかと解釈し、今年も雷神宮歌かいをベースとしたブースの開設に踏み切らせていただくことにしました。

 ルールは、1.原則として57577の定型を守っていること、2.原則として設定されたテーマに沿っていること、3.可能な限り非政治的であること、4.抒情的であること。追加ルールとしては、5.基本的にmayuさんの写真への贈歌は不掲載。
 なお選考の公平性のため、今回もna85(なーご♪・東行)の歌は選外です。
 ※基本的に敬称略とさせていただきますが、ライジングネームに敬称が含まれている例(ごっさんetc.)もあります。 
 ※57577から外れていても載せたい歌があった場合、若干の改編を施しましたことをお許しください(そのままの場合もあります)。
 ※ライジングネームの他に歌人としての「号」を持っておられる場合、その歌が詠まれたときの名で出ています。ちなみに、三味線弾きさん=三味・えせ東行、monmonさん=石川材木です。
 ※na85が付けた一言コメントで、「『57577』と返歌した。」はその当時に返した歌で、「57577。」は新たに詠んだ返歌です。

 かなり前置きが長くなってしまいました。それでは…いざ!      

・83号、テーマ:旅 
 ※ライジングテーマ:「安倍政権『閣議決定』乱用の果てにあるもの」

○なぜだろう いやらしいこと 浮かんじゃう しーくりくりしー 先入れ先出し(mayu)
 「わかります ボッキの話? もとい簿記 仕入繰り越し 繰り越し仕入だ」と返歌した。

○「ヤリたい!」と 直球投げて 来る方が 受けて立とうと 気合いが入るわ♪(mayu)
 「いいよ…との サインも出して もらえぬのに やらせろ!と迫る のはNGだぜ」と返歌した。

○硬いスーツ 着つつ慣れても つい願う 果てなく続く 旅の終わりを(あやめ)
 「硬いシート 格安バスで 会場へ 徒然な旅の できるは何時ぞ」と返歌した。

○景色詠み 心を詠んで 人を詠む 雷神宮に ボツは無いのさ♪(カレー千衛兵)
 「心とね 情景をともに 詠む歌は 空気読むのとは 訳が違うぜ」と返歌した。

○毎夜寝る 同じ畳で 早十年 床の読書が 終わりなき旅(がんT)
 もっと大きなはずの自分を探して、今夜も夢の中へ?

○頭では 思索重ねる ライジング その遍歴が 人生の旅(がんT)
 高みを目指して往く旅とは、思考・思想し続けることそのもの。

○参加して 苦手悟りし 社員旅行 以来酒とは 絶交続く(がんT)
 Tさんも酒の席で何か粗相があったのでしょうか?

○STAPを 宿しし女を 切り捨てて まるで絵に描く フィクションの如し(三味線弾き)
 「iPS 利権に負けた STAPを 信じた娘を 守り父逝く」。笹井氏も犠牲者か。

○言の葉を 集めて作る 雷神宮 歌会遂に 大樹となりぬ(dai)
 第2集の発行となりましたが、大樹となったかどうかは?が付きます。

・84号、テーマ:月・日・女・男・貧・富
 ※ライジングテーマ:「恐るべき実態!深刻化する女性の貧困」

○昼の月 溢れていても 隠してる 僕の君への 想いにも似て(dai)
 「見えぬものでもあるんだよ」(みすず)。忍ぶる恋は美しい。

○満月に 煙草の煙 吹き付けて 朧月夜と 嘯いてみる(dai)
 喫煙者に厳しくなった社会における男のナルシシズムか。

○五月雨に 陰無き月も 泣き濡れて 梅雨の数だけ 清く光らむ(えせ東行)
 西行法師の歌より本歌取です。同情、有難かったです。

・85号、テーマ:没・船・霧・偉
 ※ライジングテーマ:「韓国船沈没の悲劇を、日本は他山の石とせよ」

○朝起きて 肌に染みるや 朝霧と 日の出の光 里山を照らす(magome)
 盆地は日の出が遅く、朝靄の湿度もまた作物を潤す。

○南風 一足先に 会いに行こう 視界良好 いざ漕ぎ出でな(dai)
 南向きに帆を立て、ココではないどこかへ。なんかTAKUROっぽい(笑)。

○朽ちてゆく ネオンを写す 川面をば 切り裂きつ行く 屋形船かな(dai)
 中洲ネオン街の様を詠んだそうです。切り捨てられる地方の悲哀。

○あなたへの 伝えたかった 一言が 汽笛に消える 出航の時(mayu)
 「伝わった 聞こえずともその 表情で 霧笛も心の BGMだね」と返歌した。

・号外(5.20)、テーマ:衛(護)・合・格・受
 ※ライジングテーマ:「集団的自衛権・安倍会見のトリックに騙されるな」

○春過ぎて 夏が来たのか 白バラの トゲの痛さを 受けて気づく手(あやめ)
 「その痛み 君の越え来し 荊道 受けたる傷も 勲章とせよ」と返歌した。

○春知らぬ 山も心も いつの日か 鹿の子まだらに 雪は溶けゆく(あやめ)
 あやめ咲く 季節過ぎれど 残雪を 宿しし心に 降り重なるか(涙)。

○旅に出る 貴女のために 「好き」という 切なる叫び 汽笛に隠した(dai)
 言わなくとも、聞こえないようにしても以心伝心、それが日本人。

○あやめ咲く 季節にちょうど 良き便り 花は咲くとき 知っているから(mayu)
 ※花言葉:良き便り。あやめさんの吉報(当時)への贈歌。存分に咲いてほしいが…。

○指先に 滲む血そっと 舐めとった その無防備さが 眩しく映る(dai)
 同じくあやめさんへの贈歌。荊道を進めば傷つきもする。それでも前進。

・86号、テーマ:乱
 ※ライジングテーマ:「集団的自衛権の本音を隠す言葉の乱調」

○言の葉の 長けき心を 思えれば 梅雨の荒しも 心静かに(三味)
 皆が皆 心静かに 過ごせれば 雷神宮とて 荒れぬものかは。

○潮風に 乱された髪 かき分けて 君と初めての キスをしようか!(dai)
 AKBのラブラドール♪から本歌取とのこと。初々しさと爽やかさがNo.1。

○なにもなく ただ坦々と こなす日々 懐かしく想う 『みだれ髪』な夜(mayu)
 人生の 振幅にリズム 在りとせば 凪の間に間に ビッグウエーブぞ。

・87号、テーマ:旅・雨
 ※ライジングテーマ:「優雅なる巴里の情景」

○梅雨入りて 軽鴨一家の お引っ越し 雨に濡れつつ 親子連れ添う(尻毛屋)
 なんとも平和な光景の描写です。尻さんに似つかわしくない?

○秋葉から 新たな世界へ 旅立った 優子が叫ぶ 「前しか向かねえ」(石川材木)
 涙のこぼれることもあろうが、優子の行く末に栄光あることを願う。

○傘なんか いらない、だから ほっといてよ! ただただ雨に 濡れていたいだけ(dai)
 優しさを拒否したい、強がりを言いたい年代もあったんです…多分。

・88号、テーマ:報・血
 ※ライジングテーマ:「安倍政権と大マスコミの癒着」

○帰路の途中  祖母亡くなったの 一報に 「間に合わなかった」 景色が滲む(mayu)
 会えずとも 君の心に 生きる祖母 帰路急いだこと それで十分。

○転倒し 血が滲み出た 膝っ小僧 一つ叩いて また走り出す(dai)
 こうして少年は大人への階段を駆け上がる。

○限りなく 高い青空、 広い海、 その接点に 君だけがいた(dai)
 空と海 交じる景色が 反転し 表情を変えし 君との世界(ポルノのアゲハチョウ♪より)。

・89号、テーマ:媚・寄…
 ※ライジングテーマ:「媚びへつらいのための集団的自衛権」

 該当なし

・90号、テーマ:青・日・鼻…
 ※ライジングテーマ:「椎名林檎の『NIPPON』とナショナリズム問題」

○見上げれば 青空。君と 見た海の 景色は今も あの頃のまま(dai)
 景色は変わらぬのに…君だけがいない。夏の思い出。

○夏は「青」 あなたと行った 海の色 広がる空色 思い出すから(mayu)
 思い出が 寄せては返し 夏が過ぎ また変ってゆく その海の色。

・91号、テーマ:男・女
 ※ライジングテーマ:「安倍政権が掲げる『女性の地位向上』は本物か?」

○「男だろ!」 父の言葉に 反論も 出来ずに只管 泣きじゃくってた(dai)
 こうして、また一つ大人への階梯を上るんだ。

○男女とも ひとの身体は 美しい 魂の器 となるものだから(mayu)
 …見えない矢が心身に刺さってこそ、美が際立つ。

・92号、テーマ:?
 ※ライジングテーマ:「元米軍慰安婦の韓国政府提訴は希望になるか?」

 該当なし。

・93号、テーマ:肉・傘
 ※ライジングテーマ:「間違った戦争でも靖国神社に祀るか?」

○暗がりに ほんのり浮かぶ よしのジラ(airman)
 テーマ外の575。靖国の雪洞に込められた復讐の決意を、英霊たちは静かに見守る。

○新しい 傘に長靴 レインコート 君ははしゃぐ 晴天のもと(dai)
 そんな君を激しい風雨が襲う日も、やがて来るのだろう…。

○肉を喰み 麦酒を呷る その時を 楽しみにして 生きるもまた良し(尻毛屋)
 それが労働の喜び。小さな楽しみを奪う政治は御免こうむりたい。

○雨の中 打ち捨てられし アンブレラ 涙ぽろぽろ 唐傘お化け(ランバダ稲荷)
 「壊れた傘もちゃんと持って帰りましょう!」と詠者の主張。

○赤い傘 「これお気に入り♪」 はしゃぐ君 水溜まりジャンプ 君らしいよね(mayu)
 その「君」とは詠者自身かな。弾ける笑顔が浮かぶようです。

・94号、テーマ:白・海・犬・貝
 ※ライジングテーマ:「柳原白蓮が美智子妃ご婚約に反対した理由」

○きらめきを 練って伸ばして また練って 伸ばしたような 夏の海原(dai)
 爽やかな 夏風孕み 膨らませ 飛ばしたような 夏の白雲。

○青空に 白い日傘と ワンピース 暑さ忘れて 君に見惚れた(mayu)
 その視線 気づかぬふりで はしゃいでは 距離詰められず 陽も傾く午後。

○なーごさん♪ やっぱり猫で 合っていた 硬軟自在 しなやかなコメ(mayu)
 「ライジングの mayuyuも猫派 だといいな そう一鳴きする 吾はなーご♪なり」と返歌した。

○靖国に いまも祀らる 白襷 無心の心 後世に留め(magome)
 出征を 間近に控えし 君がため 一針一針 故郷の思い。

 続いて後篇も発行します na85

No.166 121ヶ月前

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