俺の職場の製造業の労務者のおっさんたちはアベノミクスに期待しています。
公共事業のバラマキを強く求め、泊原発は早々に再稼働させて経済を活気づかせるべきだと力説しています。
おっさんたちは安倍政権を強く支持しているわけでもないようなのですが、トリクルダウンの甘い蜜が滴り落ちてくるのを底辺で大口を開けて待っています。
トリクルダウンが起きることを熱烈に望み、その願望が信仰の域に達しています。
盲目的に信仰している人は外部からの声に対して聞く耳を持ちません。
安倍晋三のようにイヤホンを外してしまっています。
外からの呼び掛けに応じることは信仰対象を疑うことであり、信仰心にとって一番いけないことは疑うことです。
だから、どんなにトリクルダウンなんて起きないと言っても聞き入れないし、原発がなくても電力は足りていると言っても馬の耳に念仏で、自民党を支持するわけではないが、とにかくアベノミクスで景気回復するしか道はないと信じ、永遠に滴り落ちてくることのない甘い蜜を待って、痴呆めいた顔を上げて、大口を開き、ヨダレを垂らしている有り様のおっさんたちがいるのです。

世の中に健全な信仰ってやつがあるのかどうかは知りません。
慎ましい信仰心ってのがあるのかは分かりません。
それでも現代の日本人の信仰心っておぞましいと感じます。

「お腹を痛めて産んだ子供を愛さない母親はいません。」
「産んだ時は誰もが産まれてくれてありがとうと思うものです。」
本当にそうあって欲しいと願望します。
しかし、その願望を信仰すると、親からの虐待に苦しむ子供が親を見捨て、独りで生きることを選択することは悪徳、不道徳な行為になります。
やはり信仰は危険です。

皇位継承は男系男子に限るべきだと願望し、それを信仰するおぞましさ。
努力もなしに強者になりたいと願望するあまり、強者の言葉を信じ(信仰)、追従することで自らも強者になったと錯覚するみっともなさ。

事の善悪は自分たちの願望に即しているか否かで決め、自分の信仰に仇なす者は悪い人であり、同じ信仰を持つ人はいい人。
そこから思考を拡げることのない狭量さ。

やはり信仰に走ることなく、物事を疑ってかかる偏屈者であり続け、虚偽や欺瞞を撃ち抜く気概を育てよう。
…と思う俺ってば余りに屈折しすぎでしょうか。