子供の頃、ゴミが散乱している家の中、布団にもぐってコソコソとマンガを読んでいた俺は、今の自分を形作っているのはマンガ作品だと思い込んでいました。
たまに家に帰って来る大人は何が気に障ったのか分からないけれど、子供たちをクチャクチャに殴り、大人同士で、警察を出し抜いた時の話やヤクザ者を脅しつけた話などを誇らしげに語っていて、俺などはいつもビクビクと怯えて布団の中に潜り込んで、こっそりとマンガを読んでいました。
だから今の今まで自分の中におそらくはあるであろう道徳心はマンガなどの物語によって芽生えたのだと錯覚していましたが、今回の道場動画を観て、はっと気づきを得たような感じ感があって良い感じの気分。
俺に読むべきマンガを勧めてくれていた兄の存在を思い出しました。
紫煙が立ちこめる部屋で仲間と猥談を語り、出し抜けに弟である俺にプロレス技を仕掛けてきて泣かせる兄。
俺が恐れをなしている大人たちにボッコボコに殴られながらも反抗し続けていた兄。
そんな兄を見て、憧憬の念を抱き、俺は道徳心を芽生えさせたんだなとか思い返し、どんな道徳心やねん、と自分で自分にツッコミを入れてしまいました。
どんな環境下にあろうが、人格や道徳心は生身の触れ合いの中でしか形成されないのだと、今更ながら気づき、はっとさせられました。
アッと、思わず声を出してしまいました。
いくつになっても気づきを得るのって気色いい。