私の友人は美智子皇后のお言葉が生きてゆく指針であると折りに触れ言っております。
日々を漫然と過ごしていますと、気付かぬ内に、自分勝手、我儘、自己中心的な振る舞いをして、刹那的で怠惰な生活を送ってしまいます。
そんな時に美智子皇后のお言葉に耳を澄まし、我が身を振り返り、襟を正し、我欲を抑え、周りを思い遣る気持ちを持とうと努力しているそうです。
自分一人が出来ることなどちっぽけなもので、それで世の中が変わるわけでもない。それでも、そのほんの僅かなことでも誠心誠意をこめて頑張っていこうと、友人は言います。
それが美智子皇后のお言葉に寄り添う生き方なのだと言います。
私もかくありたいと思いつつ、ついつい惰眠を貪る我が身が恨めしい。

何でもかんでも算盤勘定で、自らの損得ばかり気にして、他人を出し抜くことに汲々とするような浅ましい生き方を推奨する新自由主義。
その新自由主義を推し進めている政府。
その政府のなすがままになり、人心が荒廃し、虚無的な冷笑を浮かべ、無気力な厭世観がはびこる国民。
その状況を前にいつまでも惰眠を貪っていてはいけないと己を奮い立たせ、友人のように耳を澄ませようと思います。
自らの分をわきまえ、決して上から目線で思い上がって、分かった気、知った気にならぬよう気をつけながら。

｢それに接したことにより、喜びや驚きを与えられ、その後の自分の物の感じ方や考え方に何らかの影響を与えられてきたもの｣
一つの芸術に接した時、人それぞれに違った形の感興を享けるものです。
ゴー宣道場に参加した人たちのアンケートを紹介したブログやライジングコメント欄に書かれた道場参加の感想、配信動画を観た感想を読むと、同じ空間で同じ体験をした人でもそれぞれ見ている景色が違っていて、多様な感じ方、考え方をしているのだと知ることが出来ます。
豊かな文化とはそういうことなのでしょう。
自分とは違う経路を辿りながら考えを巡らせている相手に対して、気色ばんで苛つきながら、自分とは受け止め方、捉え方が違うではないかなどと詰め寄るような狭量さほど見苦しいものはありません。
今の日本はこの狭量さで窒息しそうです。
そんななかで、ゴー宣道場への感想の豊かさ、思想の豊穣さは、この国にとって一縷の希望だと思います。