magome のコメント

本日、映画「GODZILLA」を見てまいりました。「ゴジラ」を含む怪獣映画を映画館で見ること自体、実に22年ぶりで、私自身、映画の感想を書くのは余り上手くないので書き込もうかどうか考えたのですが、上手くないながらもせっかくライジングが私を映画館に足を運んで楽しむきっかけを作ってくださったので感想を書かせていただこうと思います。

 正直、かつて見た「ゴジラ」を現代の最先端の技術と最高の脚本によって見事に甦らせた名作であると思いました。何も意識せずとも目が離せないこのような名作はそうめったにありません。「GODZILLA」を酷評する人の評論を少しばかり読みましたが、明らかにこれは評論者個人の「ゴジラ」に対する強すぎる願望という色眼鏡で見ているから内容を理解できないのであって、何も意識せずに普通に見れば間違いなく名作ですし、これまでの「ゴジラ」を含む怪獣映画の本題と近年における自然現象による自然災害を少しでも知っていれば、「初代に比べれば駄作」とか「反核兵器に対する意識が薄い」などという見当違いな感想を抱かないと思います。
 映画全編を通してみればわかりますが、「GODZILLA」では人および、人類が作り上げた兵器や原発を含む文明はムートーやゴジラに対して、最後まで全くの無力なのです。世界最強とされる米軍が最先端の技術と知恵を使い、市民を一人でも多く救うという名目で核兵器まで使うのですが、これら知恵や技術はムートーやゴジラに対して最後まで全くと言っていいほど無力な存在であり、人々はムートーとゴジラの前では只々逃げ回るか、無意味に近い武力行使を続けるしか成す術がないという、怪獣という自然現象に対し、人間が如何にして無力であるかをこれでもかと我々に見せる名作なのです。人類が作り出した最強兵器たる核兵器も、最先端技術たる原発も結局は怪獣の糧として利用されるだけ利用され、人類は振り回されるだけ振り回され、最後は結局はゴジラを含む怪獣の存在という自然現象に任すしかないという渡辺謙演じる芹沢博士の言葉が心に響く映画でもありました。

人類は自然をコントロールできると思っているが実際はその逆である

この台詞一つでこの映画が如何に名作であるかを証明していると思います。そして、核兵器を使って怪獣を退治しようとする米軍に対し、芹沢博士が米軍提督に見せる広島原爆投下で被爆した時計を見せて、核兵器を使う無意味さと愚かさを見せている点でここまで現代に自然に対する核武装や原発の無力さ、無意味さを表している映画はほかにあるのでしょうか?初代の「ゴジラ」ではゴジラは最後に秘匿兵器であるオキシジェンデストロイヤーで退治されますが、今回のゴジラは只々、人類が去りゆくゴジラを見送るのみ。
 人類の文明に対して自然の畏怖を表す映画としては、最高峰に達すると思いながら「GODZILLA」を見終えました。嘗ての東日本大震災や現在発生している広島の土砂災害とゴジラやムートーに破壊しつくされた都市が不敬ながらも重なってしまいました。初代の「ゴジラ」に固執してゴジラだけを登場させても恐らく、このような名作を作れなかったと思います。また、過去にゴジラが戦った怪獣を登場させても「GODZILLA」のような名作にはならなかったでしょう。なぜなら、今回の場合、ムートーもゴジラもどちらも自然現象の一環として登場しているのであって人類の遺志が全く反映されていないからなのです。そのなかでのゴジラとムートーの死闘はまさに自然災害そのものの畏怖すべき強さを見せつけていました。
いずれ、DVDやブルーレイなどでディレクターズカット版がでて、全編を見れることとなり、この感想とは違った見解を持つこととなるでしょうが、日本の怪獣映画を改めて一から見てみたい、あるいは現在における核兵器や原発を含む人類の文明における自然に対する無力さ、愚かさについて少しでも興味を持ったと思う方々にはぜひ見てほしいと思ったのが本日見た「GODZILLA」でした。

手前勝手な感想、失礼しました。もしかしたら、もう一回見てしまうかもしれない。

No.71 124ヶ月前

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