今年の最後の私のコメントですが…。 ずっと笹さんのブログが引っ掛かります。「外国人に靖国のことを伝えようとしても理解してもらえない」みたいなことがあって…。 今の世界史の文脈が大東亜戦争の「戦勝国の文脈」で書かれていることが明らかなのです。だから対外的にも「靖国の物語」が明文化されることはアメリカ・中国・ロシア・イギリス・フランスなどにおいても恐ろしい話なのかな、と。 日本の物語を共有できているのは、台湾やタイ、インドネシアやインドといった「欧米の侵略から日本軍が解放してくれた国々」に限られてしまっている、という事実を踏まえないと、対外的に日本と旧戦勝国との「戦争の価値観のギャップ」を埋めることはできないのではないのか。 アメリカは日本が自主防衛・自主独立の道を進むことを恐れていると思います。それは単にアジアでの戦略拠点を失うだけでなく、やはり大東亜戦争での日本軍の「精神力」みたいなものが蘇ることが、歴史がないアメリカにとっては恐怖だと思うのです。安倍には少しは、その感覚は分かっていたのかもしれませんが、やはりこの時期での靖国参拝は思慮分別を欠いています。日米同盟は片務的な同盟であってはならないし、安倍の祖父の岸信介はそこが分かっていたので安保条約の改定を国内世論を押し切って進めたのかもしれません。あの時代で安保改定をやらないと、日本はアメリカの軍事力の傘の中に入りっぱなしで、独立した国家への道は永遠に閉ざされてしまっていたのかもしれません。ただ、岸信介の時代と今では、日本を巡る外交問題の状況の緊迫の度合いが違っていて、北朝鮮や中国は核武装しているし、尖閣諸島や竹島の問題もあるし、自衛隊が自力で日本を守ることが憲法上できない状況にしては少し厳しいのかな、とも思います(だからこそ自衛隊を合憲にして日本も核武装すべきなのですが)。日米同盟を一気に破棄まで持って行くことはまだ現時点では難しいですが、かと言って自衛隊がアメリカの意思で動かざるを得ない現状は不満が募るのですが。ネトウヨにこの視点が全くないんですよね。 それは天皇陛下の問題ではなく、文民のトップである首相が責任を持つとともに、その責任は国民主権の建前のもと国民一人一人が持たなきゃならないのです、現憲法下では。だから主権は国民と国の双方が共有した方が首相が主体性を持って国を運営することが可能になると思うのです(原発などのメルトダウンや、地震等の災害の場合も)。今の憲法は問題点が多過ぎる部分があります。 主権のあり方があいまいなので、外国から見ると日本の政策について誰に責任の所在があるか分からない状況だし、それを作ったのはアメリカとアメリカが作った日本国憲法だったりします。天皇陛下も立憲君主なので憲法に従わなければなりません。おそらく天皇陛下のご本心としては、靖国神社にも参拝したいのですが、諸外国の事情も配慮されて自らのご参拝をお控えになっているような気がします。それは憲法が平和主義の建前を貫いていることもありますが、平和を希求される陛下の本心の中で戦争で散華した英霊たちの存在にお触れになりたい、という思いと、それを貫くと今この国に生きている国民が被るであろう災厄をお避けになりたい、という思いの中での葛藤される思いがあられるのではないか、と。 このような靖国に対する感慨や感情をどうやって対外的に理解してもらうのか、やはりかなりの言葉を使っても届かないもどかしさがあるのかな?とも思います。そして安倍にそんな繊細な感性が果たしてあったのかな?と思うと手放しで喜べないのですね、今回の靖国参拝は。 もちろん、自衛隊に靖国のためにアメリカや中国と戦え、っていうのは酷な話です。そういう論調を保守の知識人はしがちなのですが、国民の総意が果たして靖国にあるのか?となると疑問が多いな、と思います。自衛隊は天皇陛下をはじめとする日本の国柄を守るのが筋ですね。主体性を失った戦後レジームを守るためではなく、ね。 長文失礼しました。 来年こそは良い年にしたいですね。
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今年の最後の私のコメントですが…。
ずっと笹さんのブログが引っ掛かります。「外国人に靖国のことを伝えようとしても理解してもらえない」みたいなことがあって…。
今の世界史の文脈が大東亜戦争の「戦勝国の文脈」で書かれていることが明らかなのです。だから対外的にも「靖国の物語」が明文化されることはアメリカ・中国・ロシア・イギリス・フランスなどにおいても恐ろしい話なのかな、と。
日本の物語を共有できているのは、台湾やタイ、インドネシアやインドといった「欧米の侵略から日本軍が解放してくれた国々」に限られてしまっている、という事実を踏まえないと、対外的に日本と旧戦勝国との「戦争の価値観のギャップ」を埋めることはできないのではないのか。
アメリカは日本が自主防衛・自主独立の道を進むことを恐れていると思います。それは単にアジアでの戦略拠点を失うだけでなく、やはり大東亜戦争での日本軍の「精神力」みたいなものが蘇ることが、歴史がないアメリカにとっては恐怖だと思うのです。安倍には少しは、その感覚は分かっていたのかもしれませんが、やはりこの時期での靖国参拝は思慮分別を欠いています。日米同盟は片務的な同盟であってはならないし、安倍の祖父の岸信介はそこが分かっていたので安保条約の改定を国内世論を押し切って進めたのかもしれません。あの時代で安保改定をやらないと、日本はアメリカの軍事力の傘の中に入りっぱなしで、独立した国家への道は永遠に閉ざされてしまっていたのかもしれません。ただ、岸信介の時代と今では、日本を巡る外交問題の状況の緊迫の度合いが違っていて、北朝鮮や中国は核武装しているし、尖閣諸島や竹島の問題もあるし、自衛隊が自力で日本を守ることが憲法上できない状況にしては少し厳しいのかな、とも思います(だからこそ自衛隊を合憲にして日本も核武装すべきなのですが)。日米同盟を一気に破棄まで持って行くことはまだ現時点では難しいですが、かと言って自衛隊がアメリカの意思で動かざるを得ない現状は不満が募るのですが。ネトウヨにこの視点が全くないんですよね。
それは天皇陛下の問題ではなく、文民のトップである首相が責任を持つとともに、その責任は国民主権の建前のもと国民一人一人が持たなきゃならないのです、現憲法下では。だから主権は国民と国の双方が共有した方が首相が主体性を持って国を運営することが可能になると思うのです(原発などのメルトダウンや、地震等の災害の場合も)。今の憲法は問題点が多過ぎる部分があります。
主権のあり方があいまいなので、外国から見ると日本の政策について誰に責任の所在があるか分からない状況だし、それを作ったのはアメリカとアメリカが作った日本国憲法だったりします。天皇陛下も立憲君主なので憲法に従わなければなりません。おそらく天皇陛下のご本心としては、靖国神社にも参拝したいのですが、諸外国の事情も配慮されて自らのご参拝をお控えになっているような気がします。それは憲法が平和主義の建前を貫いていることもありますが、平和を希求される陛下の本心の中で戦争で散華した英霊たちの存在にお触れになりたい、という思いと、それを貫くと今この国に生きている国民が被るであろう災厄をお避けになりたい、という思いの中での葛藤される思いがあられるのではないか、と。
このような靖国に対する感慨や感情をどうやって対外的に理解してもらうのか、やはりかなりの言葉を使っても届かないもどかしさがあるのかな?とも思います。そして安倍にそんな繊細な感性が果たしてあったのかな?と思うと手放しで喜べないのですね、今回の靖国参拝は。
もちろん、自衛隊に靖国のためにアメリカや中国と戦え、っていうのは酷な話です。そういう論調を保守の知識人はしがちなのですが、国民の総意が果たして靖国にあるのか?となると疑問が多いな、と思います。自衛隊は天皇陛下をはじめとする日本の国柄を守るのが筋ですね。主体性を失った戦後レジームを守るためではなく、ね。
長文失礼しました。
来年こそは良い年にしたいですね。