na85 のコメント

 田中正造の「真の文明は 山を荒らさず 川を荒らさず 村を破らず 人を殺さざるべし」という言葉は、西郷隆盛の西洋野蛮論に通じます。「文明ならば未開の国に対して慈悲を本とし、懇々説諭して開明に導くべきに、左に非ず、未開蒙昧の国に対する程、むごく残忍なことを致し己れを利するは野蛮じゃ」というものです。西郷が未開と事大主義で清やロシアに縋ろうとする朝鮮を懇々説諭するため赴こうとしたのが本当の征韓論だとよしりん師範の「挑戦的平和論」で学びました。しかし西洋と事を構えたくない大久保らはこれを阻止し、これが西郷下野の直接の原因となり、不平士族に祭り上げられて西南の役につながりました。西郷という歯止めを失った日本は西洋の嫌な部分を真似て大陸への蛮行に傾斜していくことになります。
 大航海時代以来の侵略・植民地化・現地人奴隷化→三角貿易と資本家による搾取→不平等条約と、時代が下るにつれてソフィスティケートされますが、野蛮さ残忍さは変わりません。大東亜戦争以後は植民地化・奴隷化こそ減りましたが、現在の欧米のFTA・EPA(TPPもこの一つ)=不平等条約による非欧米国への経済支配も同じ流れです。
 米国はまた、石綿建材や非加熱血液製剤、旧型原子炉など自国で規制されたものを日本や韓国といった属国に売りつける蛮行に全く躊躇がありません。これらは米国の企業群が自国の国土国民を傷つける代わりに他国の山河や人や共同体を虐げるという野蛮を犯しているわけです。しかし、今また日本の野蛮化も危惧されます。10月7日のNHKクローズアップ現代で取り上げられていましたが、水俣条約を主導しているにも拘らず自国で規制された水銀を他国に輸出しているようです。強い野蛮国の犠牲にされたら他の未開国に対して野蛮に振る舞うという卑怯は、文明ではなく野蛮であるとして西郷が最も嫌ったことです。そして野蛮国と同じ産業を操る資本家がその負の面で自国民を虐げたケース(足尾銅山鉱毒事件)では、田中正造がやはりそれを文明でなく野蛮だと喝破しました。

 山本太郎氏には平成の西郷まではいかずとも平成の田中正造までは成長してほしい na85

No.91 127ヶ月前

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