「東日本大震災の津波で大きな被害を受けた福島県南相馬市で、住民やボランティアなどおよそ3000人が参加して、がれきを埋めて作った防潮堤の丘に、2万本の広葉樹の苗を植えました。 この催しは、津波から命を守るために防潮堤の整備を進めている南相馬市と東京の有志の団体が企画したものです。 6日は、南相馬市鹿島区の沿岸に地元の住民やボランティアおよそ3000人のほか、人気アイドルグループ、AKB48のメンバーや、人気のゆるキャラ、くまモンが参加し、南相馬市の桜井勝延市長が「津波によって二度と犠牲を出さないために命を守る森にしたい」とあいさつしました。」NHKNEWSwebより。 ※この日参加したメンバーは、北原里英さん、梅田彩佳さん、高城亜樹さんらしいです。 震災以来、AKBメンバーが恒常的に被災地訪問を繰り返してきたことがゴールデンタイムのニュースなどを通してもっと人々に認知されてよいと思います。『AKB48論』で紹介されていた宮脇咲良さんの被災地での活動の際の文章を見れば明らかなように、売名や自己顕示欲とは対極の立ち位置です。マジとストイックが彼女たちの聖性を形作っており、被災地訪問においても彼女たちは無私に近いと言えます。だからAKBメンバーの被災地訪問の態度は、私欲に塗れた現代日本の誰よりも皇族方の無私のご訪問に近いのではないでしょうか。 さて、ニュースの文章にある「がれきを埋めて作った防潮堤の丘に、2万本の広葉樹の苗を植えました」は、>>71で紹介させていただいた宮脇昭氏の潜在自然植生に基づく森づくりの方法論で進められています。>>71では北関東・甲信越・北陸以北は落葉広葉樹が自然植生だと書きましたが、沿岸部に限っては太平洋側では岩手南部まで、日本海側では秋田南部まで常緑広葉樹が自然植生です(内陸部はナラ・ブナなどの落葉広葉樹)。 毒物や放射性物質を除いた瓦礫を埋めて防潮堤を作り、そのマウンドに常緑広葉樹のシイ・カシ・タブノキを主木として亜高木・低木もセットで30cm程度の高さに育ったポット苗を植えていくわけです。20年もすれば20m以上の高さに育ち、林床では自然の生態系ができ手入れも要らない森が完成します。木質性の瓦礫は微生物分解されて肥料になります。 上の方で針葉樹が根を深く張り広葉樹は広く張るようなことを書いていましたが、あれも正確ではありませんでした。シイやカシは深くかつ広く張るようです。直根・深根性のシイやカシの根が瓦礫のコンクリートに絡めば強い風や波でも倒れなくなり、堤と合わせて30m近くになれば20mの津波が来てもパワーを削ぎ、引き波でさらわれる人も木の枝葉につかまれば生き残れます。松島の景観に合わせてかどうかは知りませんが、東北の海岸では松を防潮林としていました。しかし奇跡の一本松が結局枯れてしまったように、自然植生でない単一樹種の林では防潮林の役目を果たしませんでした(松の根は深く張らない)。またコンクリートの防波堤は、津波がぶち当たって乗り越えてきたとき逆にパワーが増して被害を大きくしたそうです。 この震災瓦礫を埋めて植えた自然植生に合った広葉樹の防潮林は3.11の犠牲者の鎮魂の森であり、また観光資源にもなり、さらに枝打ちしたスギ・ヒノキほど真っ直ぐではないですが硬いカシなら集成材(CLT)として建材にぴったりの木材資源になり、端材をバイオマス発電に使えば原発へのカウンターの意味も付加できると思われます。自然に逆らうコンクリートの防災や国土強靭化は自然の脅威の前には無力であり、自然の防災力を生かすような事業こそ正しいと思えます。このようなボランティアを巻き込み民間の力を合わせた復興事業は衰微させてはならないと思います。かつての民主党の「コンクリートから人へ」は失敗しましたが、「コンクリートから自然へ」と「企業から庶民へ」に分ければ理念が判りやすくなります。 安倍自民党は「自然からコンクリへ」と「庶民から米企業へ」 na85
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「東日本大震災の津波で大きな被害を受けた福島県南相馬市で、住民やボランティアなどおよそ3000人が参加して、がれきを埋めて作った防潮堤の丘に、2万本の広葉樹の苗を植えました。
この催しは、津波から命を守るために防潮堤の整備を進めている南相馬市と東京の有志の団体が企画したものです。
6日は、南相馬市鹿島区の沿岸に地元の住民やボランティアおよそ3000人のほか、人気アイドルグループ、AKB48のメンバーや、人気のゆるキャラ、くまモンが参加し、南相馬市の桜井勝延市長が「津波によって二度と犠牲を出さないために命を守る森にしたい」とあいさつしました。」NHKNEWSwebより。
※この日参加したメンバーは、北原里英さん、梅田彩佳さん、高城亜樹さんらしいです。
震災以来、AKBメンバーが恒常的に被災地訪問を繰り返してきたことがゴールデンタイムのニュースなどを通してもっと人々に認知されてよいと思います。『AKB48論』で紹介されていた宮脇咲良さんの被災地での活動の際の文章を見れば明らかなように、売名や自己顕示欲とは対極の立ち位置です。マジとストイックが彼女たちの聖性を形作っており、被災地訪問においても彼女たちは無私に近いと言えます。だからAKBメンバーの被災地訪問の態度は、私欲に塗れた現代日本の誰よりも皇族方の無私のご訪問に近いのではないでしょうか。
さて、ニュースの文章にある「がれきを埋めて作った防潮堤の丘に、2万本の広葉樹の苗を植えました」は、>>71で紹介させていただいた宮脇昭氏の潜在自然植生に基づく森づくりの方法論で進められています。>>71では北関東・甲信越・北陸以北は落葉広葉樹が自然植生だと書きましたが、沿岸部に限っては太平洋側では岩手南部まで、日本海側では秋田南部まで常緑広葉樹が自然植生です(内陸部はナラ・ブナなどの落葉広葉樹)。
毒物や放射性物質を除いた瓦礫を埋めて防潮堤を作り、そのマウンドに常緑広葉樹のシイ・カシ・タブノキを主木として亜高木・低木もセットで30cm程度の高さに育ったポット苗を植えていくわけです。20年もすれば20m以上の高さに育ち、林床では自然の生態系ができ手入れも要らない森が完成します。木質性の瓦礫は微生物分解されて肥料になります。
上の方で針葉樹が根を深く張り広葉樹は広く張るようなことを書いていましたが、あれも正確ではありませんでした。シイやカシは深くかつ広く張るようです。直根・深根性のシイやカシの根が瓦礫のコンクリートに絡めば強い風や波でも倒れなくなり、堤と合わせて30m近くになれば20mの津波が来てもパワーを削ぎ、引き波でさらわれる人も木の枝葉につかまれば生き残れます。松島の景観に合わせてかどうかは知りませんが、東北の海岸では松を防潮林としていました。しかし奇跡の一本松が結局枯れてしまったように、自然植生でない単一樹種の林では防潮林の役目を果たしませんでした(松の根は深く張らない)。またコンクリートの防波堤は、津波がぶち当たって乗り越えてきたとき逆にパワーが増して被害を大きくしたそうです。
この震災瓦礫を埋めて植えた自然植生に合った広葉樹の防潮林は3.11の犠牲者の鎮魂の森であり、また観光資源にもなり、さらに枝打ちしたスギ・ヒノキほど真っ直ぐではないですが硬いカシなら集成材(CLT)として建材にぴったりの木材資源になり、端材をバイオマス発電に使えば原発へのカウンターの意味も付加できると思われます。自然に逆らうコンクリートの防災や国土強靭化は自然の脅威の前には無力であり、自然の防災力を生かすような事業こそ正しいと思えます。このようなボランティアを巻き込み民間の力を合わせた復興事業は衰微させてはならないと思います。かつての民主党の「コンクリートから人へ」は失敗しましたが、「コンクリートから自然へ」と「企業から庶民へ」に分ければ理念が判りやすくなります。
安倍自民党は「自然からコンクリへ」と「庶民から米企業へ」 na85